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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻3号

1989年03月発行

文献概要

特集 産婦人科と生物活性物質

IGFと胎児発育

著者: 岩下光利1

所属機関: 1東京女子医科大学母子総合医療センター

ページ範囲:P.239 - P.245

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 胎児発育には種々の要素が関与しており,遺伝,栄養,母体環境,子宮,胎盤,胎児などの因子が胎児発育に影響を与えることが知られている1)。胎児発育は,胎児自身のみならず,母体と胎盤の3つの要素の複雑な相互作用の上に成り立っており,このことが胎児発育のメカニズムを解明する上できわめて困難な状況を作り出している。このようななかで,種々のホルモンが胎児発育に密接に関与していることが示唆されている。最もよく研究されているものとしてインシュリンがあるが2),そのほかに胎盤より分泌されるhuman placental lactog'n(hPL)3)や,まだ議論はあるが甲状腺ホルモンも4)胎児発育に関与していると推測されている。近年,種々の成長因子(growth factor)が胎児発育に大きな役割を果たしていることが報告されてきている。成長因子とは,細胞培養において標的細胞のDNA合成を促進する一群のポリペプタイドホルモンのことをいい,現在30を越える成長因子が報告されている。そのうちのいくつかはアミノ酸の配列も決定され,合成もされている。現在,胎児発育に関与していることが推測されているものとしては,insulin like growth factor(IGF),epidermal growth factor(EGF),nerve growth factor(NGF)などがあるが,今後さらにこの数は増えることが予想される。詳しくは総説を参照されたい5)。本稿では,成長因子のうちIGFと胎児発育との関係について最近の知見を概説し,筆者らの成績とあわせて若干の考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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