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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻3号

1989年03月発行

文献概要

臨床研修セミナー 思春期

思春期の成育異常

著者: 矢追良正1 高見沢実1 林雅敏1 高橋一久1 武藤伸二郎1 方世錝1 大蔵健義1 榎本英夫1

所属機関: 1獨協医科大学越谷病院産婦人科

ページ範囲:P.263 - P.268

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 思春期は産婦人科学の立場から見ると,婦人の生殖能力の開始の時期であると言う点で女性エイジングの中で特筆すべき時点である。「思春期(Puberty,adolescence)は小児期より成熟期への移行する期間を指し,性機能の発現開始,すなわち乳房発育ならびに陰毛発生などの第2次性徴に始まり,初経を経て第2次性徴の完成と月経周期がほぼ順調になる迄の期間を言う。その期間は我が国の現状では8〜9歳頃から17〜18歳頃迄になる1)」。
 近年の思春期早発傾向は止るところを知らず若年化しており,母性の何たるかを弁えない幼い年代で既に生殖活動が開始され,妊娠,そして中絶に至ると言う点では,前代未聞の事態であり,このような事態に対する対応をかつて経験したことがない故に,全ての人が戸惑い対応に苦慮しているのが現実である。そして思春期での対応が誤られると,婦人自身以後の人生と長い老後の時代を臍を噛む思いで過ごさねばならない不幸を味わうことになり,その不幸を診療の対象としている産婦人科医師が臨床の実際で婦人がその思春期を如何に過ごすべきであったかに思いをはせることになる。思春期における身体的,精神的発達とその異常については小児科学の成書に譲り,このような観点から,産婦人科の立場で思春期の成育を眺め,その異常につき論及し,その異常への対応を考えたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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