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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻3号

1989年03月発行

症例

片側腟溜血腫または片側子宮溜血腫で同側腎無形成を伴った重複子宮の2症例

著者: 酒井伸嘉1 中原健次1 長谷川剛志1 小田隆晴1 川越慎之助2 廣井正彦2

所属機関: 1山形県立河北病院産婦人科 2山形大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.297 - P.303

文献概要

 われわれは,片側の腟または子宮溜血腫で同側腎無形成を伴った重複子宮の2症例を経験したので報告する。症例1は重複子宮および重複腟の左腟閉鎖のため左腟溜血腫となっており,症例2では重複腟の存在しない重複子宮の左子宮下部閉鎖のため左子宮・卵管溜血腫となっていた。両症例とも思春期の少女で,初経と同時に腰痛や下腹部痛を訴え来院した。症例1は術前に確定診断がなされ,経腟的に閉鎖腟の切開術ならびに造袋術を行い,症例2は開腹により確定診断がなされ,左付属器摘出術後に経腟的に閉鎖子宮の切開術ならびに造袋術を施行した。子宮奇形に尿路奇形が合併することはよく知られているが,本邦で症例1や症例2のようなものは,それぞれ10数例,2例しか報告がなく極めてまれな症例である。これらは奇形の存在を想定せぬ限り診断が困難となることが多いので,先天性女性性器疾患の一つとして,常に念頭に置きながら日常の診療に当たる必要があろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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