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特集 MATERNAL ADJUSTMENT Overview
妊娠の生理的適応
著者: 竹内正七1
所属機関: 1新潟大学医学部産科婦人科学教室
ページ範囲:P.417 - P.419
文献購入ページに移動 妊娠現象をめぐる病態は,極めて内科的であるといえよう。産科医は内科医でもあらねばならないといわれるゆえんである。妊婦診察にあたって,産科医は妊娠時の母体の生理的適応を良く理解し,その異常の早期発見や,生理的適応のもたらすminor troublesへの患者の指導を適切に行ってゆく必要がある。産科医は妊娠時の母体適応の生理とその病理をもっとも良く理解し,適切な対応の仕方を心得ている内科医でもあるのである。
さて,生体の調節機構についての総論的な知識を,まず整理しておく必要がある。約10カ月という期間に,1コの妊卵を約3,000gの胎児にまで育てるということは,生体にとってどれほどの大仕事であるかということに思いをはせる必要がある。しかも,母体にとって同種移植片とも見做すことのできる胎児を,母体の子宮のなかで育てている免疫的仕組みにも思いをはせる必要もある。これは卵性生殖から哺乳生殖への生殖形態の進化の過程で,どうしても解決しなければならない免疫的問題でもあったのである。
さて,生体の調節機構についての総論的な知識を,まず整理しておく必要がある。約10カ月という期間に,1コの妊卵を約3,000gの胎児にまで育てるということは,生体にとってどれほどの大仕事であるかということに思いをはせる必要がある。しかも,母体にとって同種移植片とも見做すことのできる胎児を,母体の子宮のなかで育てている免疫的仕組みにも思いをはせる必要もある。これは卵性生殖から哺乳生殖への生殖形態の進化の過程で,どうしても解決しなければならない免疫的問題でもあったのである。
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