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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻6号

1989年06月発行

臨床研修セミナー 子宮外妊娠

卵管妊娠の診断における超音波断層法の意義

著者: 小林充尚1

所属機関: 1防衛医科大学校分娩部

ページ範囲:P.566 - P.574

文献概要

 卵管妊娠が殆ど大部分を占める子宮外妊娠は,以前から妊娠初期の場合や臨床症状が非典型的である場合には診断困難な場合が少なくないとされている。したがって,各種の診断法が多数用いられて来たが,必ずしも一概に診断が容易になったとはいい難い。子宮外妊娠を見逃さないための基本事項は,まず常に子宮外妊娠の可能性を頭の中に入れておくことであるとさえいわれる。
 超音波診断法が子宮外妊娠診断に導入1)されて以来,最近の超音波診断法の進歩に伴い,子宮外妊娠を疑う場合には,各種検査法の他に必ず超音波検査も行わなければならない検査法の一つ2,3)になったが,その意義は極めて大きい。非侵襲性と即時性および反復性を備え,鑑別診断としての子宮内妊娠を積極的に確認ないし否定できるということ,更に中絶前の子宮外胎嚢(extrauterineのgesta—tional sac,以下GSと略す)やその中に胎芽・胎児がいれば確認できるという直接所見の他に,中絶後では更にfree bloodとしての腹腔内出血を主にダグラス窩を中心として見出される間接所見として認めることができるからである。さらにこの検査過程での副産物として,子宮外妊娠に合併した卵巣腫瘍や子宮腫瘍が偶然発見されたりする。超音波診断は子宮外妊娠も含めて,胞状奇胎や妊娠初期の各種異常状態の診断・確認の上で非常に強力な診断武器となり得る。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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