icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻7号

1989年07月発行

文献概要

グラフ 目で見る解剖—性器系の血管構築

1.卵巣

著者: 岡村均1 片渕秀隆1

所属機関: 1熊本大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.618 - P.619

文献購入ページに移動
 卵巣に分布する動脈は,卵巣動脈と子宮動脈卵巣枝のふたつで,前者は腹大動脈から分岐し骨盤漏斗靱帯内を経て卵巣に達し,後者は子宮角部で分岐した子宮動脈卵巣枝が卵巣固有靱帯に沿って走り,卵巣間膜の両葉間を通り卵巣門で子宮動脈卵管枝と吻合し卵巣髄質に入る。静脈は卵巣門内で蔓状静脈叢を形成した後,卵巣静脈となり,卵巣動脈に併走する(図1)。
 成熟家兎卵巣の血管鋳型を作製し走査型電子顕微鏡により観察すると,卵巣に入った動脈は螺旋状を呈し,髄質の周辺部で小さな分枝となり血管叢を形成し,卵胞周囲で毛細血管網をつくり,個々に独立した微小循環系を形成する(図2)。LH刺激後の卵胞壁血管網は排卵に向かって急速に増大し,排卵直前には頂部に血栓形成がみられ(図3),排卵後は英膜の血管網から顆粒膜の黄体化層に急速に毛細血管の侵入・増生が起こり,黄体の微小循環網が完成する(図4)。以後,黄体の退縮に伴い血管量は漸減し,規則的な立体配列も失われる(図5)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?