文献詳細
特集 LH-RHとそのagonist
文献概要
排卵障害に対する治療薬としてHMGが導入され,すでに20数年を経ている。しかしながら,HMG療法による副作用である卵巣過剰刺激症候群あるいは好ましからざる多胎妊娠やそれに続発する流産などが医療関係者のみならず社会的な問題となり,それに対する対策が緊急の課題となって来た。ここ数年前から,LH-RH(Luteinizing Hormone-Releasing Hormone)を律動的に投与し排卵を誘発しようという試みがなされ,クロミフェンやブロモクリプチンに対し抵抗性を示す者やHMG療法により種々の問題が危惧されるような症例に対し,新しい治療法として高い評価を得てきている。本邦においては,私どもが独自の注入装置を開発し,はじめてLH-RH律動的投与法による排卵誘発を試み1),満足すべき排卵率と妊娠率を報告して以来,多数の機関で実施されるようになった。本稿においては,LH-RH律動的投与法に関する理論,歴史的経過,問題点,さらに現況等に対して述べてみたい。
掲載誌情報