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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻7号

1989年07月発行

文献概要

特集 LH-RHとそのagonist

LH-RH agonistによる子宮内膜症の治療

著者: 植村次雄1

所属機関: 1横浜市立大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.643 - P.647

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 ここ40年間に子宮内膜症の薬物療法は著しい変遷を遂げてきた。1950年代の前半ではestrogenの大量療法が行われ,1960年代から1970年代にかけては偽妊娠療法やprogestin療法が行われ,1980年代になってDanazolが登場してきた。そして今日GnRH agonist (LHRHa)が臨床に用いられるようになって,子宮内膜症のホルモン療法が内容的に充実したものとなってきた。しかし,これらの薬剤を適切に使用するには薬剤に対する内膜症組織の反応と薬剤の特性を充分理解していなくてはならない。
 種々の実験成績は子宮内膜症の発育にステロイドホルモンが主要な役割を果たしていることを明らかにしている。そして大多数の子宮内膜症組織にはestrogenレセプター,progesteroneレセプター,androgenレセプターが存在することから,内膜症組織はこれらのホルモンに反応すると考えられている。ラットや家兎の実験的内膜症に対して,estrogenが促進的に作用し,androgenが抑制的に作用することが示されている1)。 progesteroneについては統一した見解はないが,単独では促進的に作用し,多くの合成progestogenは男性ホルモン作用を有しているため,抑制的に作用するようである。実際には子宮内膜組織の発育と機能の制御は想像以上に複雑であり,paracrine protein growth factorや免疫因子なども関与していると考えられている1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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