icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻8号

1989年08月発行

症例

片側の子宮溜血腫卵巣嚢腫および同側の腎無形成を伴った重複子宮の1症例

著者: 三宅敏一1 長谷部宏1 青野敏博2

所属機関: 1徳島県立海部病院産科婦人科 2徳島大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.807 - P.811

文献概要

 一側腟が存在せず片側の子宮溜血腫,卵巣嚢腫および同側の腎無形成を伴った重複子宮の症例を経験したので報告する。症例は14歳の少女で,初め虫垂炎の疑いにて開腹し,重複子宮と右卵巣嚢腫を認めたため,右付属器摘出術を施行した。後日,腟式に腟壁および子宮壁部分切除術を施行し,確定診断をしえた。一側の腟閉鎖による腟溜血腫および同側の腎無形成を伴う重複子宮は,本邦では10数例の報告があるが,本症例のような子宮溜血腫を伴う重複子宮は3例しか報告がなくきわめてまれである。このような子宮奇形は若年女性に発症し,開放側の腟より規則的な月経をみるため診断が困難である。しかし,診断が確定すれば開腹手術は必ずしも必要ではなく,また将来の妊孕性および術中術後の合併症等を考慮すると,経腟的な手術で十分の場合が多い。患者は,腟式手術後6カ月経つが,経過は良好であり,将来,健側子宮での妊娠・分娩は十分に可能であると考えている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら