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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科44巻1号

1990年01月発行

文献概要

特集 着床

着床前胚の形態と機能

著者: 北井啓勝1

所属機関: 1埼玉中央病院産婦人科

ページ範囲:P.23 - P.29

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 卵管の膨大部で受精した卵は,透明層という糖蛋白でできた膜の中で,細胞分裂を繰り返しながら予宮腔へと運ばれる。分裂初期の胚には細胞間結合の形成がみられず,透明層がないと胚はバラバラになり正常な発生ができない。この着症前の胚は,卵管液または子宮液の中に浮かんだまま発育し,母体の血液循環より直接酸素および栄養の供給を受けることはなく,低い酸素分圧の中でおもに胚自身の物質を利用しながら成長する1)
 着床前の胚は一層の栄養芽細胞におおわれ内部が空洞の胞胚の形を取る。この胞胚の形態は下等な動物の発生時にも共通してみられる基本的な構造である。哺乳動物の胚は着床するために,胞胚の表層は栄養芽細胞に分化し,胞胚の中にできた内細胞塊の中にさらに外胚葉を含む3胚葉が形成される。この着床前胚は胚盤胞とも呼ばれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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