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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科44巻11号

1990年11月発行

文献概要

症例

Wilson病合併妊娠の1症例

著者: 軽部彰宏1 樋口誠一1 松浦亨1 早川正明1 大友公一1 後藤薫1 平野秀人1 真木正博1 望月修2

所属機関: 1秋田大学医学部産婦人科 2市立秋田総合病院産婦人科

ページ範囲:P.1027 - P.1032

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 銅代謝異常であるWilson病は,常染色体劣性の遺伝性疾患であり,錐体外路症状,Kayser-Fleisher角膜輪,肝硬変を3主徴とする。キレート剤であるD—ペニシラミンの長期投与により予後は改善し,それに伴い,Wilson病患者の妊娠,分娩例が報告されてきている。今回我々は小学生時にWilson病を発症し,その後D一ペニシラミンを長期服用し,妊娠,分娩に至った症例を症験した。患者は,25歳,O妊O産,両親は血族結婚で,家系内にWilson病の発症を認めた。肝硬変と続発性脾機能亢進による血小板減少および食道静脈瘤を合併したが,妊娠中にその増悪はなかった。分娩前の食道内視鏡で,食道静脈瘤破裂の危険は少ないと考えられ,経腟分娩の方針とした。妊娠39週で自然分娩し,母児ともに経過は順調であった。本論文では,症例の報告とともに若干の文献的考察を行った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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