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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科44巻3号

1990年03月発行

特集 婦人科癌発症のNatural history

子宮頸癌

著者: 吉川裕之1 水野正彦1

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.203 - P.207

文献概要

 ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の発癌性は子宮頸癌との関連でとくに注目されるようになった。子宮頸癌の原因としてHPVが研究されるようになった理由は,第1にHPVは性行為感染症である尖圭コンジローマの起因子であり,子宮頸癌が性行為と関連が深いという疫学的事実に一致すること,第2に,HPVは造腫瘍性が証明されているウサギやウシのパピローマウイルスと同属のウイルスであり,その造腫瘍性が充分疑われることであった。尖圭コンジローマの起因子であるHPV−6やHPV—11は,結果的には子宮頸癌にはほとんど存在しないことがわかったがこの検索の過程でHPV−16やHPV−18が発見され,これらは子宮頸癌に高率に検出されることがわかってきた。現在の研究の焦点は,遺伝子レベルでの発癌機講の解明と感染自体の自然史の解明であり,癌ウイルスの研究が癌の予防に進展することがもっとも期待される分野となってきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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