icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科44巻3号

1990年03月発行

文献概要

特集 婦人科癌発症のNatural history

絨毛癌

著者: 金沢浩二1 安達茂実1 八幡剛喜1 田中憲一1

所属機関: 1新潟大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.215 - P.218

文献購入ページに移動
 癌発生のnatural history,あるいはメカニズムが解明されるならば,癌の予防をもっと具体的に論じうるであろう。しかし,婦人科癌に限らずほとんどの臨床癌に関して,今日なお,その発生のメカニズムは明確にされていない。(妊娠性)絨毛癌は,妊娠にともなって発生する絨毛細胞をその母細胞とするから,男性および妊娠の既往の無い女性には発生しえない。正常な絨毛細胞と絨毛癌細胞との間にはいくつかの細胞生物的差異が観察され,絨毛癌細胞には癌としての特性が備わっており,また,実際の臨床においても絨毛癌患者の生命予後は重大である。しかしながら,正常な絨毛細胞が癌化する過程,あるいは胞状奇胎細胞が癌化する過程が,形態的に,機能的に,また分子生物学的にどのような変化であるかに関して,多くはなお推測の域をでない。
 本稿では正常な絨毛細胞,胞状奇胎細胞と絨毛癌細胞との細胞生物的差異の幾つかを概説し,その癌化の過程について若干の考察を試みたいと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?