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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科44巻4号

1990年04月発行

文献概要

特集 救急手技のポイント Ⅱ.産科・婦人科

性交裂傷

著者: 笠井寛司1

所属機関: 1滋賀医科大学,産科学婦人科学講座

ページ範囲:P.328 - P.329

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 現今の性行動様式は甚だ多様化し,その結果,性交裂傷は本来の性交器である外陰部あるいはまた腟に限定されるものではなくなっている。また一方,従来殆どが若年者や性交初経験の女性に限られていた性交裂傷は,女性層の特定が無くなりつつある。他方,裂傷は男性性器だけが惹起するものではない。このように考えると,性交裂傷の背景は多岐にわたるが,大別すると(1)男性側,(2)女性側,及び(3)性器外器物の3要因に区分することが出来る。(1)は暴力的性交,性器形態異常および男性のPsychosexual Disordersにもとづく異常性行動の3者が最も大きな要因である。(2)では本来の性交器(腟および外陰)の解剖学的形態異常(未成熟および男性性器との不均衡を含む)が主たる要因である。(3)は本来性交を意味するものではないが,自慰的にあるいは性交時に随時器物が介在することによって惹起されるものであり,ある種の暴力と解することもできる。
 本編は治療が目的であるが,性交裂傷に遭遇して最も注意を要する事柄は,それが性犯罪と関係がないかどうかを確かめることである。後日関係者からの事情聴取に十分対応できるように,治療前所見の記録を怠らないよう心掛けるべきであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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