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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科44巻5号

1990年05月発行

臨床研修セミナー 手術手技

I.子宮単純全摘出術

腹式単純子宮全摘出術—標準術式について

著者: 藤井信吾1

所属機関: 1京都大学医学部婦人科学産科学教室

ページ範囲:P.409 - P.420

文献概要

 腹式単純子宮全摘出術は各種婦人科疾患に頻用される婦人科手術の一つであり,婦人科医にとって必須の手術手技である。しかし,単純子宮全摘出術といっても,さまざまな難度の症例があり,子宮頸部に発生した筋腫,frozen pelvisとなった子宮内膜症や骨盤内炎症,後腹膜に進展した卵巣腫瘍や筋腫などは,いずれも難度の高い手術となる。ところが,これらの症例も癒着の剥離を解剖学的に沿って進め,さらに後腹膜に進展した腫瘍は,これを後腹膜の結合組織から剥離するという対応によって,通常の単純全摘術の範囲の手術へと導くことができる。しかし,このような対応を行うためには,解剖学に沿った単純子宮全摘出術の基本原理とその問題点を十分理解しておく必要がある。本稿では単純全摘出術の標準術式を記載することになっているが,著者は標準術式という言葉を,解剖学に沿った単純子宮全摘術という意味に解釈し,さらに,この術式が本質的に抱えた問題点である尿管の走行と手術手技との関係に重点を置いた手術手順の解説をしたいと思う。手術手技にはそれぞれの工夫があって当然であることから,手技自体の詳細についてはあまり言及しない予定である。
 また,腹式単純子宮全摘出術において,良性腫瘍の場合,筋膜内子宮全摘術(Aldridge手術)がしばしば行われているが,子宮を摘出する手術法としての普遍性は筋膜外子宮全摘術にあると考えるのでこの方法について記載する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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