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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科44巻6号

1990年06月発行

臨床研修セミナー 手術手技

II.子宮頸癌の手術

広汎子宮全摘出術—骨盤神経叢温存をめぐって

著者: 野田起一郎1

所属機関: 1近畿大学医学部産科婦人科教室

ページ範囲:P.507 - P.513

文献概要

 子宮頸癌根治手術(広汎子宮全摘出術)は,頸癌に対して良好な5年治癒成績をあげることができるので,現時点ではⅡb期までの頸癌に対してはこの手術がその治療の主流をなしている。しかし,術後その殆どの患者に排尿困難,尿失禁,尿意鈍麻などの排尿障害や便秘などの直腸障害を残し,日常生活に重大な影響をおよぼしている。また,長年の排尿障害による上部尿路への逆流現象や感染による腎機能の低下は患者の予後を悪くする要因ともなる。これらは従来,根治手術に随伴する当然の現象,すなわち,癌の根治性の確保のためには止むを得ない犠牲と考えられていた。しかし,近年の進行期あるいはその拡がりに対する的確な診断法の確立によって,頸癌の治療法の個別化をもたらしつつある。つまり癌の拡がりに応じて手術の根治性に抵触しない範囲で,できる限り生理的な機能を保存する治療法(function retaining operation)を選択しようというのである。
 頸癌根治手術後に多少なりとも必発する排尿障害は広範な膀胱の剥離,膀胱の位置変化,栄養血管の切断などの因子も加味されるが,第一義的には骨盤内植物神経の切断によって神経因性膀胱に陥ることによって起こることは周知の事実である。ここでは頸癌根治手術の術後障害として代表的な尿路系の障害をとりあげ,それを防止するための配慮と対策について述べたいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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