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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科44巻8号

1990年08月発行

臨床研修セミナー 手術手技

IV.子宮脱の手術

子宮・腟の各種吊り上げ術

著者: 永田一郎1

所属機関: 1防衛医科大学校産科婦人科学

ページ範囲:P.662 - P.670

文献概要

 子宮脱の本質が骨盤底におけるヘルニア現象である以上1),腟式にヘルニア臓器を還納しヘルニア門を閉鎖し,弛緩した支持組織を補強することが根治に直結するのは理の当然である。性交機能を保存するためには,これに加えて腟管を生理的位置に保持するという条件を満たさなければならない。弛緩した前腟壁に対しては前腟壁整形術,後腟壁に対しては後腟壁整形術が有効であり,子宮の脱出に対しては腟式子宮全摘+基靱帯断端・腟断端固定で“腟の吊り上げ”がはかられ,子宮頸部の延長に対しては頸部切断+基靱帯・残存子宮頸部前面縫合(Manchester手術)で“子宮の吊り上げ”が効果が期待できる。しかし,ヘルニアの修復補強を十分に施行しようとすればそれだけ腟管は狭小となり浅くなり,性交機能を保持する腟の大きさを残そうとすると,上記の手法では吊り上げ効果が十分ではない。性交機能のある腟(functional vagina)の保存は子宮全摘術の既往者の腟脱の修復の際とくに難しい。そこでヘルニアそのものの修復はほどほどにしておいて,腟上端を確実に吊り上げ固定する手法が求められ,過去において種々の手法が試みられてきた(図1,2)。その中から現在筆者が最も有用であると考え日頃採用している腹式および腟式の腟吊り上げ術(図2E,F)について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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