文献詳細
原著
産婦人科領域におけるBasic fetoprotein測定の臨床的意義について
著者: 廣田穰1 澤田富夫1 白木誠1 吉村俊和1 神谷貴之1 丸山邦之1 友松守彦1 吉村泰典1 河上征治1 福島穰1
所属機関: 1藤田学園保健衛生大学産科婦人科学教室
ページ範囲:P.703 - P.707
文献概要
健常婦人の血清BFP値は75.4+6.0ng/mlであり,加齢にともないBFP値は低下した。月経周期では,卵胞期→黄体期→月経期とBFP値は順次上昇し,女性の性周期とBFP値との密接な関わりが示唆された。Mean+2SDをcut off値とした場合のsensiti—vityは,子宮頸癌55.0%,子宮体癌50.0%,卵巣癌45.0%であった。また子宮および卵巣の良性腫瘍におけるfalse positiveは,各々29.4%,43.8%に認められた。卵巣癌では,明らかな組織特異性は認められなかった。正常妊娠経過中のBFP値は,160ng/ml前後の値を示し,妊娠週数による大きな変動は観察されなかったが,産褥1週目にBFP値は若干上昇した。初期異常妊娠例で,予後良好例と不良例との間にBFP値に解離(P<0.001)が認められ,これら症例での予後判定の有用性が示唆された。
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