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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科44巻9号

1990年09月発行

雑誌目次

特集 Safe motherhood—リスクファクターの再評価

[Overview]Safe motherhood(母性保護)とは

著者: 森山郁子 ,   一條元彦

ページ範囲:P.725 - P.730

 最近,わが国における周産期死亡率,新生児死亡率は著しく低値となった。ME機器の開発とNICUの活用が大きく貢献したといえる。一方,妊産婦死亡率は文明圏としては最も高く,高度経済成長を遂げた国といい難い。しかも最近5年間の妊産婦死亡率の推移はほぼ横這で,飛躍的低下が見込めないのである。
 Safe motherhood母性保護の面からもわれわれ産婦人科医は日常の妊産婦診療に思い切った軌道修正が必要であるように思う。

産科ショックの誘因とその対応

著者: 斎藤良治 ,   中村幸夫 ,   尾崎浩士

ページ範囲:P.731 - P.740

 1989年版の厚生省の統計1)によると,妊産婦死亡数は年ごとに減少しているが,その死因別頻度にはほとんど同じ傾向が見られている。すなわち,図1のように子宮外妊娠と分娩前後の異常出血が全死因の約半数を占めており,これに産科肺塞栓群が加わると,妊産婦死亡原因の実に60%以上が「産科ショック」であるといえる。そこで本稿では,産科ショックのなかで最も頻度の高い出血性ショックの特徴や誘因について述べるとともに,私たちが行っている対応策なども紹介したい。

妊娠中毒症の発症予防対策

著者: 佐藤和雄 ,   三宅良明 ,   坂田寿衛

ページ範囲:P.741 - P.748

 妊娠中毒症は母体合併疾患の中で最も重要な疾患の一つであるにもかかわらず,未だその病態,成因について確定的なものがないため,その根本的な予防対策については現在研究が進められている段階である。従来,疫学的調査に基づいた予防や安静,食事療法(減塩),予防的利尿剤の投与と可及的な早期診断と厳重な母児管理による病態の増悪防止を主体とした二次的予防対策にとどまっている。しかし,妊娠中毒症は母体が胎児,胎盤を内蔵することによって,fetal allograftと母体組織間で適応不全が生じ,その後の妊娠経過中に母体循環血流量や心拍出量の減少や末梢血管抵抗,血管感受性の増大,さらには血液凝固系の異常を,また胎児には子宮胎盤血流量の減少,胎盤機能不全や子宮内胎児発育遅延を惹起する適応不全疾患(Maladaptation Disease)であることに間違いはなく,最近,その主要因の1つとして全身および胎盤におけるプロスタグランディン産生の不均衡が注目され,その是正策が予防に結び付けられつつある。また,疫学的調査から高カルシウム食を摂取する人種ではeclampsiaの発生が少ないことより,大量カルシウムの経口投与による血管感受性の低下作用,降圧作用も検討されつつある。そこで今回は従来の予防対策とその問題点,プロスタグランディン産生不均衡是正策としての低用量アスピリン療法,カルシウム大量投与について述べる。

内科合併症の妊娠許可条件

著者: 木戸口公一 ,   藤田富雄 ,   和田芳直

ページ範囲:P.749 - P.753

 少産少死の現在,できるだけ少ない機会で健全な児の出生することが大切となってきている。一方,新生児治療学の進歩により,早産でも健全に児が成長するようになってきた。内科合併症の妊娠許可基準もそれに合わせて,時々刻々変化していくことが想定される。
 妊娠を生物のreproductionとして捉えるならば,次世代を担う生命を生み出すことでその目的を達したといえ,その時の妊娠許可基準は従来からの許可基準に比較して随分緩やかなものと今はなっているであろう。しかし,児も当然のことながら人生(Life)のある生命体であり,児を出生した母体を中心とする家族のQuality of Lifeも妊娠によって損なわれることの無いような結果を期待する場合には,妊娠許可基準は児の予後・母体および周囲の人々の予後の2点を配慮したものでなければならないので,一層厳しい基準が要求されるであろう。

臨床研修セミナー 手術手技 V.帝王切開

帝王切開の適応

著者: 外西寿彦 ,   浅野仁 ,   鮫島浩 ,   池ノ上克

ページ範囲:P.754 - P.758

 近年の周産期医学の進歩に伴い,帝王切開の適応が広がり,帝王切開率は年々増加領向にある。NICUでの未熟児新生児管理の発達に伴い帝王切開の適応となる妊娠週数の範囲も拡大している。また,従来までは妊娠禁忌とされていた重症疾患を合併した妊婦も増加しており,分娩方法として帝王切開が選ばれる場合も多くなっている。一方,一度帝王切開を行ったならば常に帝王切開と言われていた既往帝王切開例や骨盤位のように症例を個別化したうえで経腟分娩を行うことにより帝王切開の頻度を低下させようとする試みもなされている。
 われわれ産科医にとって妊娠・分娩管理においてその分娩方法の決定は常に悩むものである。経腟分娩にすべきか,帝王切開にすべきか,母児いずれにとってもその予後を大きく左右することがあり慎重を要する。

峡部横切開法

著者: 中村隆一

ページ範囲:P.759 - P.766

 筆者に与えられたテーマは「峡部横切開法」となっているが,主として英語圏においてtransverse lower uterinesegment incisionと普遍的に称せられる術式である。わが国では従来,子宮—深部・頸部・下部・峡部—切開などと種々の名称が用いられていたが,これはTransperitonealer Zervikaler Kaiserschnitt(nach Opitz)やSectio caesaria isthmica nach W. Weibelなどのように近代の本邦医学が明治期にドイツ医学を範とした故ではないかと思われる。最近のわが国の教科書では“子宮下部(峡部)切開”と記載されることが多いようであるが,本稿では峡部横切開として記載することとする。余談ではあるが,近年のドイツではKeiserschnitt(帝王切開)は余り使用せずSchnittentbindung(切開娩出術)を多用しているようである。
 子宮内に在る胎児を子宮峡部を切開して娩出させる術式は古く1805年頃よりOsiander,Joerg,Ritgenらによって行われていたが,1907年にFrankによる腹膜外術式から1924年のPortesによる経腹膜後に腹腔を閉鎖して峡部に切開を加える術式で感染による母体死亡を激減させて子宮峡部帝王切開は多くの産科医の認知するところとなったのであり,おそらくそのころより旧来の子宮体部を切開する術式は古典的帝王切開と称されたと推察される。

逆T字切開法

著者: 大谷嘉明 ,   宇津正二 ,   成田喜代司

ページ範囲:P.768 - P.772

 帝王切開術における逆T字(inverted T)切開法は,子宮頸部横切開の際に,切開創上縁の中央から子宮体部の方向に縦切開を加えて,子宮切開創を拡大する補助的な術式である。その目的は,子宮切開創を十分大きくすることにより児を損傷することなく,しかもできるだけ急速に娩出することにある。早産児の予後に影響を及ぼす産科的因子として,分娩時の頭蓋内出血や仮死が指摘されており1),早産,特に骨盤位の場合には帝王切開術が多くなるが,児に対して非侵襲的でスムースな娩出を実施するために,この逆T字切開法を実施せざるを得なかった経験のある産科医は多いと考えられる。また成熟児における帝王切開施行時にも,巨大児や子宮筋腫合併例など,本法施行を余儀なくされる場合がある。しかし,本法は通常の子宮頸部横切開法に比し,子宮筋への侵襲はかなり大きいものとなり,術後管理および次回の分娩対策については,子宮収縮不全や瘢痕治癒の問題などを含めて,子宮体部縦切開法に準じて行われるべきである。これらの問題を考慮した上で,まず逆T字切開法の手技について述べ,続いて当院における本法施行例について臨床的な検討を加えた。

Porro手術

著者: 藤井仁 ,   池下育子

ページ範囲:P.773 - P.779

 帝王切開は子宮の処置の差によって保存的帝王切開と根治的帝王切開の2種類にわけられる1)。保存的帝王切開は子宮を保存する方法であるが,根治的帝王切開とは帝王切開時に止むなく子宮を摘出することであり,これをcesarean hysterectomyといい2),Porro手術即ち腟上部切断術(sub total・supravaginal hysterectomy)と子宮全摘術(total hysterectomy)の2つがある。一方,経腟分娩終了後にも子宮摘出術をせざるを得ない症例がある。
 妊娠・分娩時に子宮摘出術を必要とする症例は日常臨床上稀にしか遭遇しないにしても,その際の多くは緊急性を要する場合である。したがって,われわれ産科医はこのような術式を熟知して,いつでも対応できる心得が大切である。その意味から本稿では1)Porro手術の名称と変遷,2)Porro原法の術式,3)Porro手術の適応と問題点,4)Porro手術の術式,5)当院におけるPorro手術の頻度,などについて述べてみたい。

外来診療指針 I.妊婦外来

妊婦健診外来のすすめ方

著者: 山本稔彦 ,   豊田長康 ,   谷口晴記 ,   杉山陽一

ページ範囲:P.781 - P.786

 昭和40年に母子保健法が制定されて以来,妊婦の健診率は著しく向上してきているが,最近では周産期医学に関する知識が一般大衆に浸透するに伴い,より安全な妊娠・分娩管理が社会的要求となってきている。
 したがって,分娩を取り扱う施設では,その規模の大小を問わず胎児情報の的確な把握を含む一定水準以上の妊婦健診の施行が求められているといえよう。

胎児モニタリング外来

超音波診断法による胎児発育評価

著者: 秦幸吉 ,   槇原研 ,   秦利之 ,   北尾学

ページ範囲:P.788 - P.791

 現在産科領域で用いられている超音波診断法は,胎児体表の形状や胎児臓器の形態などを非侵襲的に実時間で観察でき,胎児管理,妊娠分娩管理において必要欠くべからざる検査法となってきている。その中でも胎児発育の評価は超音波診断法のもつ最も重要な役割の一つで,胎児モニタリング外来において基本となるものである。
 本稿では,超音波診断法を用いた胎児計測による胎児発育評価について述べる。

NST

著者: 原量宏

ページ範囲:P.793 - P.798

 分娩監視装置および超音波診断装置の普及により,妊娠の管理法は本質的にかわりつつある。従来のいわゆる妊婦外来においては,胎児の状態を直接評価する手段がなかったこともあり,その名称どおり妊婦の血圧や体重,尿蛋白の有無,もしくは子宮底長など,妊婦の管理が中心とならざるを得なかった。超音波診断装置により,胎児の大きさ,形,さらに胎動などが直接評価可能となり,また分娩監視装置により胎児心拍数が連続的に検出記録できるようになると,必然的に妊婦の管理から胎児の管理へ重心が移動し,胎児モニタリングという概念が生じてきた。我々の施設においては開院以来,できるかぎり胎児の直接的な情報を利用することを原則とし,全妊婦を対象として,超音波診断による妊娠週数,胎児発育,胎動,羊水量などのスクリーニングを行い,妊娠中期以降には妊婦全例にNSTを施行している。その結果,いわゆる潜在胎児仮死の症例はすべて未然に発見され,入院,安静の対象となり,分娩開始後に突然late decelerationが出現してくるような症例は皆無となっている。NSTを全例に施行することは,潜在胎児仮死の診断のみならず,切迫早産の早期発見や早産の予防にもおおいに役立っている。妊婦にとっても超音波画像による胎児の視覚的な認識に加え,NSTにより胎動や心拍数変動をより具体的に認識することによって母性意識の早期確立に役立っており,間接的に安全な母児管理の実現に寄与している。

胎児行動Biophysical profile

著者: 佐藤昌司 ,   前田博敬 ,   中野仁雄

ページ範囲:P.799 - P.801

 周産期における外来診療では,大部分の正常例に含まれる一部の疾病胎児を短時間に抽出できるマススクリーニングとしてのモニタリング法が要求される。この目的に沿って現在用いられている胎児の健常性の評価法には,瞬時心拍数の解析によるNonstress test(NST)あるいはContraction stress test(CST),そしてこれに胎児の運動と羊水量を加味したBiophysical profile score(BPS)がある。本稿ではBPSについて,その評価法および意義を中心に概説する。

胎児・胎盤機能

著者: 高山雅臣

ページ範囲:P.803 - P.805

 胎児・胎盤の機能を外来にてモニタリングする方法は大きく分けると次のごとくになろう。
 1.胎児心拍数陣痛図(tocography):nonstress test,contraction stress test

ハイリスク妊婦外来

妊娠中毒症

著者: 松浦俊平

ページ範囲:P.806 - P.809

 ハイリスク妊婦外来で管理される最も頻度の高い疾患である妊娠中毒症(以下中毒症)は,重症例が少なくなった現在においてもなお妊産婦死亡ならびに周産期死亡の主要な原因であるため,本症の適正な管理が望まれるところである。本症の病因が不明であることから,その発症を防止する確実な方法はないが,適正な管理を行うことによって症状の重症化を防ぎ,母児の予後を改善せしめうる。
 以下,本症のハイリスク外来での管理の要点を述べる。

胎児異常

著者: 竹内久彌 ,   中條真美子

ページ範囲:P.810 - P.813

 胎児の発育や成熟度,さらには健康状態などを扱う外来としては,すでに「胎児モニタリング外来」があるものと設定されているので,ここでいう胎児異常とは胎児奇形を主とする形態異常とし,以下それを専門に取り扱う外来について述べることとする。

原著

妊娠糖尿病のスクリーニング時期について

著者: 有澤正義 ,   藤田富雄 ,   木戸口公一

ページ範囲:P.814 - P.818

 妊娠糖尿病のスクリーニングでの75gOGTTをいつの時期に実施すべきかを,同一人物で1回の妊娠で2回の75gOGTTを施行した症例の耐糖能の2回の変化にもとづいて検討した。比較する週数として第一回目の75gOGTTが16週未満と,悪阻の影響が消えると考えられる16週以降に分けて検討した。第一回目が16週未満に施行された症例の一回目と二回目の耐糖能の評価の一致率は第一回目が16週以後に施行された症例と比べると悪かった。また,第一回目が16週未満に施行された症例のなかで第一回目と第二回目が一致しないものに高率に妊娠悪阻の合併が認められた。第一回目が16週以後に施行された症例のなかで第一回目と第二回目が一致しないものにもなんらかの理由が確認されたが,不一致率は第一回目が16週未満に施行された症例と比べると有意に少なかった。妊娠糖尿病のスクリーニングの時期としては妊娠16週を過ぎたなるべく早い時期が良いのではないかと考えられた。

抗カルジオリピン抗体陽性妊婦の胎盤病理所見—Perivillous Fibrinoid change(PVFC)について

著者: 若浜陽子 ,   和田芳直 ,   中山雅弘

ページ範囲:P.819 - P.822

 抗カルジオリピン抗体陽性母体35例の胎盤および付属物を病理組織学的に検討した。診断された母体合併症としてはSLEが最も多かったが,抗カルジオリピン抗体強陽性者においても自己免疫疾患などの症状を示すことなく,ただ流産のみ繰返す症例も多かった。胎盤重量は軽い傾向にあった。肉眼的には梗塞の像を多く認めたが,この梗塞部の組織像は妊娠中毒症の梗塞所見とは異なり,Trophoblastの部位に一致して,厚い縁取りを持ったFibrinoid変性が見られた。また,流産物の絨毛においても同様の変化を認めた。また,この部位の組織免疫学的検索ではTrophoblast表面に微細顆粒状のIgG沈着を認めた。われわれはこの所見をPerivillous fibrinoid change(絨毛周縁フィブリン様変化)—以下PVC—と名付けた。

症例

大網のdermoid cystの1例

著者: 中原健次 ,   酒井伸嘉 ,   長谷川剛志 ,   小田隆晴

ページ範囲:P.823 - P.826

 われわれは稀な症例である大網のdermoid cystを経験した。患者は41歳の女性で5妊2産であり,既往歴,家族歴および月経歴は特記すべきことはなかった。現病歴としては下腹部重苦感を訴え当科を初診したが,内診にて軽度腫大した子宮に隣接して超手拳大の表面平滑な弾性硬の腫瘤を触知した。血液検査では軽度の貧血がみられ,CA125を含む一連の腫瘍マーカー検査ではIAPおよびLDH4の上昇がみられた。超音波断層法やCTを含む画像診断では,卵巣のdermoid cystが最も疑われた。以上の所見をふまえて開腹手術を施行したところ,卵巣は左側は正常で右側は軽度嚢胞状であったが,本腫瘍とは別であり,腫瘍周囲の繊維性癒着を剥離していくと,腫瘍は大網とのみつながっていた。腫瘍内容は脂肪,毛髪および軟骨様組織からなり,病理診断はdermoid cystであった。症例の報告と若干の文献的考察を行った。

薬の臨床

疼痛症状を伴う更年期・閉経後不定愁訴に対するノイロトロピン®錠の有用性の検討—メサルモン®Fとの比較成績

著者: 苛原稔 ,   乾貞治 ,   青野敏博 ,   土井忠彦 ,   高橋久寿 ,   斎藤真平 ,   長谷部宏 ,   井川昭 ,   奈賀脩 ,   吉本忠弘 ,   三村経夫 ,   大野義雄 ,   高柳真 ,   秋山敏行 ,   平尾務 ,   中郷吉二郎 ,   岡山哲也 ,   乾泰延 ,   三木鈴 ,   吉田篤司 ,   黒岩俊一郎

ページ範囲:P.827 - P.834

 肩こり,腰痛,関節痛などの疼痛症状を伴う更年期・閉経後不定愁訴に対するノイロトロピン®錠の有用性を,メサルモン®Fを対照薬として検討した。封筒法によりノイロトロピン®錠(NT群,49例)あるいはメサルモンF®(MHF群,35例)を選択して2〜4週間投与し,その臨床効果を比較した。全般改善度では両群間に有意差は認められなかった(中等度改善以上,NT群,65.3%,MHF群62.9%)が,NT群で著明改善が多い傾向にあり,有用性についても両群間に有意差はないものの(有用以上,NT群65.3%,MHF群71.4%),NT群で極めて有用以上が多い傾向にあった。投与4週後の症状の推移では,MHF群は血管運動神経系症状において,NT群は疼痛症状を伴う運動器神経系症状において改善率が高い傾向にあり,特に腰痛はMHF群に比しNT群で有意(p<0.01)に改善していた。以上より,ノイロトロピン®錠は疼痛症状を伴う更年期・閉経後の不定愁訴に対して有用性の高い薬剤であると考えられる。

高感度妊娠診断試薬セロテスト50の使用経験

著者: 卜部諭 ,   本庄英雄 ,   柏木知宏 ,   柏木宣人 ,   上島典子 ,   船越典子 ,   藤沢秀年 ,   田村尚也 ,   北脇城 ,   山本宝 ,   岡田弘二

ページ範囲:P.835 - P.839

 hCGに対するモノクローナル抗体を用いた新しい簡易妊娠診断薬セロテスト50の検討を行った。
 本キットはhCGの検出感度が50mIU/mlと高く,LH,FSHおよびTSHとの交差反応性は認められなかった。
 正常妊娠53例につき妊娠週数別に検討した結果,陽性と判定されたのは妊娠4週で4/6例,5週で6/8例,6週以降で39/39例であった。また,非妊娠24例の判定結果はhCG50001U投与後3日目の1例を除き全て陰性を示し,臨床上特に問題とされる偽陽性の症例は1例もなかった。子宮外妊娠および流産の異常妊娠7例については全て陽性を示した。
 高感度かっhCGに特異性の高いセロテスト50は,規定された反応時間がなく操作を連続して行うことがでぎるので,外来診療においてこれまでの妊娠診断と比較して特に有用であると思われた。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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