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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科45巻1号

1991年01月発行

Current Research

子宮収縮の生理

著者: 瓦林達比古1

所属機関: 1佐賀医科大学産婦人科

ページ範囲:P.97 - P.106

文献概要

はじめに
 子宮は平滑筋細胞からなる空洞臓器であり,内腔は腟に連続していて体外へと通じており,本来筋肉の収縮により月経時の子宮内膜や分娩時の胎児,胎盤などの子宮内容物を排出することにその生理的役割がある。したがって,排出器官として見てみれば基本的な構造や機能は単純なものであって,実際,摘出された子宮を観察してみても単に鶏卵大の筋肉の塊であり,複雑な臓器の印象は受けない。さらに,子宮自体は個体の生命の維持に必須の臓器ではないわけであり,生殖の目的以外には不必要なものであるともいえよう。
 近年,超音波診断技術の急速な進歩の中で,経腟プローブの出現により排卵までの増殖期に蠕動様の子宮内膜運動が観察されたが,この運動は子宮内圧の同時記録によって子宮の律動的収縮によるものであることが判明した1)。これは産婦人科一般臨床の中で認識できた初めての未妊娠子宮の収縮現象であるが,そのほかに,未妊娠時の子宮収縮異常に関連して月経困難症をあげることができる。この疾患は,プロスタグランジンの産生過剰による子宮の異常収縮に起因した疼痛として理解され治療されている2)。ところが,実際には月経痛に対する対症療法が中心であるので,臨床上は子宮収縮を意識して対処しているわけではない。このように,将来的には受精・着床現象に子宮収縮の関与が解明され,コントロールが必要になってくる可能性もあるが,現在のところ,未妊娠子宮において収縮自体を直接的に意識して管理するような機会はごく限られている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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