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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科45巻2号

1991年02月発行

カラーグラフ 経頸管的切除術・2

粘膜下筋腫の治療

著者: 林保良1 岩田嘉行1

所属機関: 1川崎市立川崎病院産婦人科

ページ範囲:P.134 - P.135

文献概要

 粘膜下筋腫は不正性器出血,過多月経,貧血,時には不妊の原因にはなるが,開腹せずにまた子宮壁の切開を行うことなくレゼクトスコープで経頸管的に切除(TCR)することが可能である.しかし,すべての粘膜下筋腫がTCRの対象になるわけではなく,以下の条件を要する.①過多月経または頑固な不正性器出血のあるもの,②子宮の大きさが妊娠9週程度かこれより小さいもの,③粘膜下筋腫の最長径が50mm以下のもの,④粘膜下筋腫の子宮側附着部(茎部)の直径が30mm以内のもの,⑤子宮に癌病変または前癌病変のないもの.ただし腟内に下垂している粘膜下筋腫(いわゆる筋腫分娩)は,その大きさまたは茎部の大きさとは無関係に子宮体部の大きさから術式を決定する.切除の際,筋腫の大きさに対応し婦人用または成人用レゼクトスコープを利用する.大きい粘膜下筋腫の場合,婦人用レゼクトスコープで筋腫の茎部を切除し,茎部を15mm程度としてから成人用スコープを用いて筋腫の本体を切除する.TCR術の安全性を確保するため,術中超音波断層法を利用し手術を監視する.超音波断層監視法にはTwo contrasts法とThree contrasts法の2種類がある.TCRによる手術最大切除検体量は100g(症例2)で,また不妊症の1例は1回目に40g,2回目に60gを切除した後,完全に正常子宮に回復し,ひきつづき正常妊娠,正常満期産に至った.術後の結果ではほとんどの症例で症状の改善が見られた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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