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今月の臨床 Preterm PROM—34週までの問題点 胎内治療
16.Tocolysisの適応と限界
著者: 菊池三郎1
所属機関: 1日本医科大学第二病院産婦人科
ページ範囲:P.178 - P.180
文献購入ページに移動 preterm PROMは,一旦発生したとなると如何に積極的にtocolysisを施行してもその予後は極めて不良である。すなわち,2週間以上早産発生の抑制に成功するのは20%以下で,悲観的に見たばあいには10%以下にすぎない。しかし,PROMから陣痛開始までは正期産ではその大部分は48時間以内であるが,早産症例においては,50%〜60%は24時間後も陣痛は発来せず,さらに30%近くは72時間以上たっても陣痛は発来しないとされている。したがって,妊娠中期の破水後は,陣痛抑制の有無と陣痛発来まで期間は無関係と云うChristensenらの報告1)もあるが,preterm PROMが発生した場合はまず妊娠の持続を試みるべきである。
しかし,妊娠中期にPROMが発生した時には,児の肺の成熟を願ってそのまま胎児を子宮内に残留させるconservative approachをとると胎児および母体の感染を惹起して母児の予後を悪化させる可能性は否定出来ないし,一方,感染の発生を恐れて胎児を早期に娩出させるaggressive ap—proachをとると未熟性の故に胎児が死亡する可能性が高まるという二律背反を生むことになる。
しかし,妊娠中期にPROMが発生した時には,児の肺の成熟を願ってそのまま胎児を子宮内に残留させるconservative approachをとると胎児および母体の感染を惹起して母児の予後を悪化させる可能性は否定出来ないし,一方,感染の発生を恐れて胎児を早期に娩出させるaggressive ap—proachをとると未熟性の故に胎児が死亡する可能性が高まるという二律背反を生むことになる。
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