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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科45巻2号

1991年02月発行

文献概要

今月の臨床 Preterm PROM—34週までの問題点 PROMの予防

19.PROMの予防は可能か

著者: 金岡毅1

所属機関: 1福岡大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.187 - P.189

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 全妊娠の約10%にPROMが発生し,早産,すなわち未熟児出生をもたらし,周産期死亡率や罹患率を増加させる。PROMの発生機序では,羊膜の物理的な強度,粘〜弾性度,構造〜微小構造などや,生化学的な膠原,グリコサミノグリカン,プロラクチン,種々の酵素などなどが関与する1)。Kidroniら1)は正常羊膜とPROMが起きた羊膜を生化学的に分析・比較した結果,両者間に有意な差が認められたのは組織内カルシウム・マグネシウム濃度で,後者に有意に低い値が観察された。
 さらに臨床的にPROMを起こしやすいハイ・リスク因子として,喫煙,妊娠中の性交,経産,子宮頸部の既往手術および羊膜炎などがあげられている2)。なかでも重要なのはPROMの原因となり,結果として生じる羊膜炎で,PROMの1/3に併発する1)。羊膜炎がPROMや早産を発生する機序にはプロスタグランディン(Pg)の関与が大きいとされる。Lamontら3)は第一に,細菌が頸管付近の脱落膜に侵入し,羊膜細胞と細胞内リソソームを破壊してホスフォリパーゼを解離する結果,アラキドン酸からPgが合成される。第二に,病原菌が炎症反応を起こし,遊走して来たマクロファージや白血球がPgを産生し,またこれらから解離したインターロイキン1や腫瘍壊死因子(TNF)が羊膜細胞に作用した結果,Pgが合成される。第三に,病原菌がホスフォリパーゼやエンドトキシンを産生し,これらが羊膜細胞に直接的または間接的に作用した結果,Pgが合成される,という仮説を提唱し,各種の細菌の存在により羊膜細胞からPgE2が産生されることを実験的に証明した3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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