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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科45巻3号

1991年03月発行

今月の臨床 子宮体癌—理解のためのQ&A 33

予後に関する因子

33.ER,PRの有無と予後

著者: 寺川直樹1

所属機関: 1鳥取大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.346 - P.347

文献概要

 性ホルモン受容体陽性内膜癌の方が陰性内膜癌に比して腫瘍の増殖速度がゆるやかであることを示唆する成績は多い。また,原発腫瘍のエストロゲン受容体(ER),プロゲスチン受容体(PR)陽性症例は陰性症例に比して,有意に健存率(disease—free survival)が高く,予後良好であると結論する成績も散見される。したがって,ER,PR陽性内膜癌は予後良好なる腫瘍と解釈できるが,性ホルモン受容体が内膜癌の単独の予後因子となり得るか否かについての結論を出すことは,現時点ではやや困難と思われる。
 乳癌の性ホルモン受容体測定が確立されて間もなく,原発乳癌のERが健存率の独立した予後因子となることが報告されたが,その後今日まで賛否両論の成績が出され,一定の見解は得られていない。現時点で,最も信頼性のある乳癌の予後因子は腋窩リンパ節転移の有無,転移個数であるとのことである。内膜癌においても,受容体が単独の予後因子となり得るか否かについては,他の予後因子を確定した上で,多数例で長期の観察期間をもった複数の研究で検討されることが望まれる。内膜癌性ホルモン受容体の有無と健存率,ならびに予後に関与する因子との関連についての成績を紹介し,概説を加える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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