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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科45巻5号

1991年05月発行

文献概要

原著

無心体の病理学的検討

著者: 有澤正義1 金井利仁1 中山雅弘1 今井史郎1 末原則幸1 近藤国男2 北村幸太郎3

所属機関: 1大阪府立母子保健総合医療センター 2近藤産婦人科 3PL病院産婦人科

ページ範囲:P.611 - P.618

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 当センターでの無心体の頻度は約14,000分娩に3例(0.02%)であり,一卵性双胎230例に3例(1.3%)であった。当センター病理では,この他に2例の他院よりの剖検依頼もあった。5例の無心体はすべて双胎の1児で,Dasの分類にしたがうと,痕跡頭無心体1例,無頭無心体2例,無形無心体2例であった。無心体は奇形だけでなく臓器の未熟性も合併していた。双胎の無心体でない方の児にも臨床的な未熟が合併しており,この児にも十分な注意が必要であろうということが示唆された。胎盤は全例,一絨毛二羊膜であり2例の不明を除くと全例が動脈—動脈吻合および静脈—静脈吻合が認められた。胎盤の顕微鏡的観察では,未熟絨毛,異形絨毛,絨毛内出血が認められた。臍帯血管の異常としては高率の単一臍帯静脈の合併が報告されているが,今回も同様の結果であった。さらに,今回は無心体の臍帯静脈の筋層は未発達を所見としてとらえた。これが血流が他の児の循環に頼っているためなのか,低酸素のためなのか,奇形のためなのか,原因については今後の検討を要する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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