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今月の臨床 今日の癌検診 卵巣癌
21.腫瘍マーカーによるスクリーニング
著者: 稲葉憲之1 深沢一雄1 岡嶋祐子1 岩崎秀昭1 高見澤裕吉1
所属機関: 1千葉大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.694 - P.697
文献購入ページに移動さて,マーカーを用いた卵巣癌のスクリーニングであるが,その意味するところは子宮頸癌における細胞診のように「一次検診」として捉えるのが本筋であろう。しかしながら,卵巣癌は他の婦人科悪性腫瘍とは異なり,「ハイリスク群」の設定が困難である。全年齢層に渡って,しかもある一定期間をおいてマーカーを測定し,「診断効率」をプロスペクティブに検討できれば理想的であるが,癌発症率が7.9人(対10万人,千葉県,平成2年度),また医療費総額が20兆円を超えようとしている「現実」を考えると,cost efficiencyの面より実現困難である。従って,本稿で述べる成績は何らかの理由で婦人科外来を訪れ,通常は内診・超音波検査などで付属器部位に明らかな「異常」が認められ,他の診断法,あるいは手術によって確定診断が得られた症例や,「良性・悪性の鑑別」といった「二次検診」的な目的でマーカーが使用された症例を対象としており,本来の「(一次検診的)スクリーニング」という観点からは厳密には若干異なることを付記したい。
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