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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科45巻7号

1991年07月発行

症例

子宮腟上部切断術後に発症した結腸憩室症によるS状結腸腟瘻の一例

著者: 粉川信義1 大谷尚子1 矢本希夫1 仲野良介1

所属機関: 1和歌山県立医科大学産科婦人科学講座

ページ範囲:P.875 - P.877

文献概要

 S状結腸腟瘻は稀な疾患であり,その発症の背景として悪性腫瘍,子宮摘出術後,放射線療法後,膿瘍形成,外傷,憩室症などが知られているが,このうち結腸憩室症に伴う発症が最も多いといわれている。今回われわれは子宮腟上部切断術後50年を経て発症した結腸憩室症によるS状結腸腟瘻の一症例を経験し,術後良好な経過がみられた。原疾患ならびに瘻孔の部位およびその数を正確に評価することが外科的治療の施行上重要なことであるが,腟造影法は注腸造影法,大腸内視鏡等に比べより有用な診断法であると思われた。結腸憩室症は加齢とともに増加するが女性の平均寿命の延長に伴い,今後憩室症に起因する結腸腟瘻の症例に遭遇する機会も増加する可能性が考えられ,その診断,治療につきさらに検討していく必要があると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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