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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科45巻8号

1991年08月発行

今月の臨床 外来でみる感染症

感染症とその治療

17.淋疾

著者: 長南薫1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院産婦人科

ページ範囲:P.941 - P.945

文献概要

 淋疾は古くからよく知られたSTDの一つであるが,最近の問題点としては次の3点があげられる。第1は,有効な抗菌物質が続々と開発され広く用いられているにもかかわらず,世界中で多発しつづけており,特に1980年前後から増加傾向にあることで,公衆衛生学上重大な問題であり,外来でみる感染症として忘れてならない点である。
 次に耐性菌増加の問題で,なかでもペニシリン耐性を示すペニシリナーゼ産生淋菌(penicillinase-producing Neisseria gonorrhoae;PPNG)によるものが増加している。PPNGは,β-ラクタム環を有するペニシリンを分解するペニシリナーゼを産生する耐性淋菌で,その産生遺伝子は核外遺伝子であるプラスミド上にあり,この耐性プラスミドの接合伝達により,PPNGが世界的に蔓延しているもので,その分離率は東南アジアで40〜50%,わが国でも10〜20%といわれ1),年次的に増加傾向にある。このことは,ペニシリンを中心とする淋疾治療の標準的薬物療法について留意を要する点である。また,PPNGの他にスペクチノマイシン,テトラサイクリン耐性淋菌の存在も報告されている1,2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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