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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻1号

1992年01月発行

文献概要

今月の臨床 子宮内膜症 病因と病態

8.内膜症に伴う腹水の病因的意義

著者: 杉並洋1

所属機関: 1国立京都病院産婦人科

ページ範囲:P.30 - P.32

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 子宮内膜症の組織発生に関して種々の説が提唱されている(表1)。その中で現在主流をなすものは子宮内膜播腫着床説(Sampson説)1)と体腔上皮化生説である。子宮内膜播種着床説とは,月経時に剥脱した子宮内膜が月経血とともに卵管を逆流し腹腔内に到着しそこで着床し増殖するという説である。一方,体腔上皮化生説は,第二次体腔上皮coelomic epitheliumに由来する組織(Müller管,卵巣被覆上皮,腹膜,胸膜など)は子宮内膜化生を起こす潜在能力を持っており,ある化生誘導因子の存在下に子宮内膜症が発生するという説である2,3)。先日,特殊な子宮内膜症例をreviewした4)が,その際に述べたように私自身は体腔上皮化生説を支持したいと思っている。
 さて,子宮内膜症の好発部位はダグラス窩,仙骨子宮靱帯,膀胱子宮窩,卵巣などの骨盤内臓器である5)が,時には肺,胸膜,横隔膜,消化器系臓器,尿路系臓器,四肢など種々の遠隔臓器,あるいは非常に稀ではあるが男性にも発生する4)。子宮内膜症の好発部位はいずれも体腔上皮由来の組織であり常に腹水に暴露されている。さらに,肺,胸膜,横隔膜,消化器系臓器などにも体腔上皮由来の組織が含まれており,且つ腹水に曝される機会を持っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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