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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻10号

1992年10月発行

文献概要

カラーグラフ 胎盤の生理と病理・10

梗塞・血栓・中隔嚢腫・フィブリン沈着

著者: 中山雅弘1

所属機関: 1大阪府立母子保健総合医療センター病理室

ページ範囲:P.1157 - P.1159

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 割面の観察では,母体面を上にして1〜1.5cmの間隔で割断していく.母体面の観察で異常のあるところはとくに注意深く割面を入れる.母体面を上にするのは,単に切りやすいということではなく,割面はそれぞれのコチルドンを意識して切開するべきであることと,また母体面の異常が見逃されやすいからである.
 梗塞は通常は母体面の硬化像にほぼ一致して割面で認められる.重症妊娠中毒症では,多発性の梗塞あるいは巨大梗塞を示す.梗塞は三角形の底辺が母体面側で,その中央に螺旋動脈の硬化部を見る.この三角形が梗塞とは反対に底辺が胎児面側のときには,胎児血管の栓塞症(fetal artery thrombosis)を考えなければならない.Fetal artery thrombosisは,通常の梗塞が母体の阻血性変化によって起こるのとは異なり,胎児側の血管に血栓を生じ末梢絨毛の壊死を起こすものである.まれなものであるが,これを見ると母体の糖尿病をも考える必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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