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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻11号

1992年11月発行

カラーグラフ 胎盤の生理と病理・11

胞状奇胎,およびその類縁病変

著者: 中山雅弘1

所属機関: 1大阪府立母子保健総合医療センター病理室

ページ範囲:P.1285 - P.1287

文献概要

全胞状奇胎
 肉眼的にすべての絨毛が嚢胞化して認められるものを全胞状奇形,または単に胞状奇胎(狭義)という.全胞状奇胎は1500〜2000分娩に1例で,とくに東洋人に多い.染色体は,父親由来(精子)のみの2倍体であるとされる.その細胞学的機序は,空胞卵子に精子由来の23Xが2倍体となり,46YYはその形成過程で消滅し,通常の46XXの完全型奇胎が形成される1).ごくまれには,2つの精子が空胞卵子に出会ったときは父親由来で46XYの全胞状奇胎になる.胞状奇胎の2〜5%が絨毛性癌に移行するといわれ,逆に絨毛性癌の半分ないし2/3は胞状奇胎の後に起こっている.典型例は診断は容易であるが,ごく早期の流産例や子宮外妊娠のときにまれに誤診される.妊娠5週までの正常組織像は大きな絨毛とトロフォブラストの過形成がみられ奇胎組織に酷似する.しかし,絨毛内の血管の有無や,トロフォブラストの増殖部位が絨毛外層部に限局するかなどによって鑑別される2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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