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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻11号

1992年11月発行

今月の臨床 思春期診療

思春期の生理

3.思春期のこころ

著者: 芳川玲子1 馬場謙一2

所属機関: 1平塚市教育研究所 2横浜国立大学教育学部

ページ範囲:P.1294 - P.1295

文献概要

私たちにとっての思春期
 『思春期』という言葉に私たちはどんなことを連想するであろうか。甘酸っぱい初恋を思い浮かべる人もいれば,訳のわからなさの中でただ大人たちに反抗する中学生や高校生程度の若者を連想する人もいるだろう。自分の思春期を思い返してみると,概して言えるのはつねに『思春期』という言葉に反感を抱いていたようである。思春期は情緒が不安定の時期だとまわりから言われるゆえに,それに反発してむりに安定を保とうとしていたのである。今思うと実に思春期的な反応であった。
 これまで思春期についてさまざまな説や考えが述べられてきた。思春期は,人生上の他の時期に比べて大きな意味があるからだとも言えよう。まず生物学的にみれば思春期はその後にくる青年期とともに,第2次性徴の発現から生殖能力の十分な成熟に達するまでの時期であり,大人としての肉体的能力や性的能力を培い,準備するために多くのエネルギーが費やされる。心理学的にみれば,思春期は家族から自分を切り離して,家庭外の人物や価値観に関心を移し変え,自律的な判断と行動が可能になり始める時期である。また社会学的にみれば,自分の独自の生き方を見いだし,社会的役割を身につけ,経済的自立を達成していこうとする時期である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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