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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻11号

1992年11月発行

原著

卵巣腫瘍の疫学的考察

著者: 井浦俊彦1 桑原惣隆1 高林晴夫1 土用下麻美1 国部久也1 吉田勝彦1 上田由生子1 羽根淳治1 丹野治郎1 福間秀昭1

所属機関: 1金沢医科大学産科婦人科

ページ範囲:P.1385 - P.1389

文献概要

 金沢医科大学産科婦人科において,1985年5月より1991年5月までに経験した卵巣腫瘍および類腫瘍病変292症例について臨床統計を行った。①内訳は,良性89例(30.4%),境界悪性5例(1.7%),悪性48例(16.4%)であった。類腫瘍病変は,292例中150例(51.4%)認めた。②発症年齢は,表層上皮性腫瘍51.72土15.87歳,性索間質性腫瘍50.20±14.05歳,胚細胞腫瘍36.04±15.52歳と胚細胞腫瘍で発症年齢が早い傾向がみられた。③初経年齢は良性,境界悪性,悪性間に有意差は認められなかった。④閉経年齢は,良性49.38±2.91歳,悪性50.04土3.06歳と,ともに遅延する傾向がみられた。⑤類腫瘍病変では,25/150(16.7%)と月経不順を訴えるものが多かった。卵胞嚢胞などの機能性病変は,卵巣機能不全を同時に発症しやすいと考えられた。⑥経妊数は,良性2.36,悪性2.64,経産数は,良性1.82,悪性2.11と,悪性で経妊経産数が多い傾向を示した。
 これらから,臨床的に閉経の遅れているものや,経妊経産数の多い女性では卵巣腫瘍罹患のハイリスク群として十分な注意が必要であると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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