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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻5号

1992年05月発行

文献概要

今月の臨床 分娩前後の1週間 エマージェンシー・ケア

16.羊水混濁

著者: 平省三1

所属機関: 1市立川西病院産婦人科

ページ範囲:P.558 - P.559

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 羊水混濁が胎児仮死の徴候であることは,既に1858年Schwartz1)が記載し,1959年にはWalker2)が,羊水混濁症例における周産期死亡率が8.8%であることを発表した。このように従来より羊水混濁は,胎児仮死徴候の1つと考えられていた。しかしながら,羊水混濁の頻度は,満期産で10〜12%,早期産で3〜5%,過期産では40〜44%であるが,このうち10%のみが低アプガースコアになると言われており,羊水混濁が胎児仮死診断の必要十分条件であるかというと,必ずしも明確ではない。たとえば,Kubliは胎便で羊水が混濁する場合,統計上胎児の危険は増加するが,必ずしも胎児低酸素血症を伴うものではないと言っている。この理由を考えてみると,胎便排泄が,種々のきっかけで起こるためであろう。もちろん,胎児低酸素血症が,胎児臓器間における血液の再配分を引き起こし,胎児腸管血管収縮の結果,腸蠕動亢進と肛門括約筋の弛緩が起こり胎便排泄につながる場合もあるが,その他,臍帯圧迫による迷走神経反射や,自然排便ということも考慮しなければならない(図1)。いずれにしても,羊水混濁が胎児仮死診断の上で,Fetal heart rate moni—toringと共にdecision making の一助となることは明白であろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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