icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻5号

1992年05月発行

文献概要

今月の臨床 分娩前後の1週間 産褥

36.乳房マッサージ

著者: 根津八紘1

所属機関: 1諏訪マタニテイークリニック

ページ範囲:P.611 - P.613

文献購入ページに移動
 母乳哺育推進とともに乳房マッサージの必要性が叫ばれ,久しくなる。しかし多く,産褥看護の一環として,看護婦や助産婦が産褥にしてやるという方向で行われている。妊娠・出産・育児が人間のごく当り前の生き様であるならば,育児の中の母乳哺育,中でも母乳を出して子供に飲ませて行くことは,母親が自ら行って行く当然の事柄であり,自ら行って行けるよう指導者が指導して行くことも当然の事である。にもかかわらず,褥婦全員にマッサージを施行している施設や,指導者が居ることは,大の大人に御飯を箸で口まで運んでやったり,トイレでお尻を拭いてやっているのに等しいことである。自立自活して子育てのできる母親へと指導してやることが本来の指導者の役割であり,そうしてやることは,手を掛けてマッサージしてやることより,もっと労力を要することである。
 最近,親切医療を強調する余り,何でも褥婦にしてやる傾向があるが,ただでさえ育児能力の無い親が多くなったと言われる現在,マッサージをしてやることは,それを一層助長する行為に外ならないのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?