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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻5号

1992年05月発行

Current Research

頸癌の初期発生とHPV感染—子宮頸部のHPV感染と人類の進化

著者: 小西郁生1

所属機関: 1京都大学医学部婦人科学産科学教室

ページ範囲:P.617 - P.624

文献概要

 子宮頸癌の発生は疫学的に性交と深く関連していることが知られており,従来より性行為により感染する微生物が頸癌発生の原因ではないかと考えられてきたが,近年の子宮頸癌とhuman papil—lomavirus(HPV)に関する知見が集積されるにつれて,HPVはまず間違いなく大部分の頸癌の発生過程に重要な役割を果していると考えられるに至っている。
 性行為による子宮頸部のHPV感染と頸癌の発生を考察する上で,比較動物学的に頸癌の発生をみると,ヒトにおける頸癌の発生頻度に比べ,ヒト以外の哺乳動物における頸癌の発生頻度は極めて稀である。そこで,頸癌発生のリスク因子としての性交を両者についてみると,ヒト以外の哺乳動物では性周期と発情周期が一致し,主に発情期のみに性交を営むのに対して,ヒトでは性周期は存在しているが発情期はなく,性周期と無関係な性交が営まれていることがわかる。ヒトとヒト以外の哺乳動物の頸癌発生頻度の著しい差異は,このような両者の性交形態の差異に基づくものであるのかも知れない。このような比較動物学から得られた示唆が本研究の出発点であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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