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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻7号

1992年07月発行

文献概要

カラーグラフ 胎盤の生理と病理・7

臍帯の病理

著者: 中山雅弘1 虫明聡太郎1

所属機関: 1大阪府立母子保健総合医療センター病理室

ページ範囲:P.763 - P.765

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1.臍帯の長さ,太さなどの異常
 臍帯の長さは週数,体重に関係する.週数別の基準値は文献を参照して下さい1).80cm以上を過長臍帯と考える.合併症は臍帯巻絡が多く,アプガー指数も有意に低い.記録上の最高は160cmである2).当センターで最も臍帯の長い例は140cmであった.臍帯ヘルニアの中でBeckwith-Wiedemann症候群の臍帯が非常に長く,通常の臍帯ヘルニアは中間で,セロソミア(celosomia)は極端に短いことを以前に発表した3).短い例は,セロソミア以外に,胎内の運動が抑制されるような奇形児や筋疾患である.臍帯の太さは体重と相関する.胎児発育遅延の臍帯の直径は有意に細い.非常に太い臍帯を糖尿病の特徴に挙げるものもいるが,多数例の平均をとってみると有意な結果はでない,臍帯の浮腫はなんらかの循環障害と関連すると思われるが,確定的ではない.臍帯が浮腫状でしかも黄色調が強いときは臍帯炎の徴候である(本シリーズの第5回—絨毛膜羊膜炎を参照).臍帯に小さな白斑が多数見られるのは先天性のカンジダ症の特徴である.組織学的には,胎盤の周辺に局所性に細胞浸潤が強い.この部分はPASやグロコット染色で菌体が染色される.胎盤表面には白斑は見られない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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