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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科46巻9号

1992年09月発行

文献概要

今月の臨床 排卵—誘発と抑制の実際 誘発法の副作用

14.排卵誘発と多胎妊娠

著者: 安水洸彦1

所属機関: 1山梨医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1070 - P.1071

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 通常の自然排卵周期では,1個の主席卵胞(dominant follicle)のみが発育,成熟し排卵に至る。主席卵胞はその発育過程で,他の卵胞の発育を抑制するため,排卵に至る卵胞は原則的に1周期につき1個のみである。ところが,排卵誘発では非生理的な卵巣刺激を強いるため,複数の卵胞の同時発育,排卵が高率に発生する。この結果生ずる多胎妊娠は,ovarian hyperstimulation synd—rome(OHSS)とともに排卵誘発における主要で深刻な合併症である。
 多発排卵と多胎妊娠の頻度は,卵巣刺激の程度と一定の相関を示し,直接的卵巣刺激法であるゴナドトロピン療法では高く,内因性ゴナドトロピン放出を利用した方法では比較的低い。またゴナドトロピン投与量の増加とともに多胎の発生の危険が高まることも知られている。ゴナドトロピン療法を必要とする患者は,他の治療群より重症の排卵障害例であることを考慮すると,本療法が多胎発生の第一の危険因子であることは明白である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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