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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科47巻1号

1993年01月発行

今月の臨床 流産

流産の動向

4.習慣流産の動向

著者: 神崎秀陽1

所属機関: 1京都大学医学部婦人科学産科学

ページ範囲:P.18 - P.19

文献概要

 わが国では,自然流産を連続して3回以上くり返す場合を「習慣流産」と定義しており,このような夫婦については積極的な原因究明や治療を行うべきと考えられている。流産の統計に基づいた3回以上とするこのような考え方は,諸外国でもほぼ一致しているが,ただ一度の流産でも次回妊娠に対する不安が生じるのは当然であり,連続して2回妊娠が流産となれば,大多数の夫婦が次回の妊娠に大きな危惧を抱き,その原因究明を希望するようになる。近年の結婚年齢の上昇がもたらす妊娠の高年齢化も,このようないわゆる「反復流産」の場合ですら,検査や治療を強く求め専門外来を受診する一因となっている。
 一般に,臨床的に診断された一回の妊娠あたりでの流産率は10〜15%程度と推定されている。この数字からは3回流産をくり返す可能性は0.1〜0.34%となるが,実際には1%程度の頻度で認められる。このような偶発的な流産のくり返しによる予測値よりも明らかに高い流産の反復率は,同一の原因で流産が引き起こされている可能性を強く示唆しており,さらに,流産の回数が増加するにつれて,以後の妊娠での流産率が上昇するということも知られている。最近の報告でも,2回流産をくり返した婦人が次の妊娠においても流産する率は17〜35%,3回以上の流産後では25〜46%とさらに上昇することが示されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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