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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科47巻10号

1993年10月発行

文献概要

今月の臨床 不妊の原因を探る 無排卵・無月経

5.排卵の時期の診断と評価

著者: 小田高久1 鈴木直1

所属機関: 1東京歯科大学市川総合病院産婦人科

ページ範囲:P.1164 - P.1166

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 排卵とは,卵胞構成細胞の形態学的成熟に伴うsteroidogenesisの変化,卵子の核および細胞質の成熟,卵胞壁頂部結合織の融解菲薄化に伴う破裂,成熟卵の放出などの一連の現象の複合体である1)。すなわち排卵は単なる卵胞の破裂ではなく,黄体化と受精分割能を有する成熟卵の放出の過程として捉えられなければならない。
 排卵の前段階として卵胞の発育成熟が不可欠であることは言うまでもなく,それに伴うestradiol(E2)の急激な産生増加によりmidcycleのLHの急激な放出,すなわちLHサージが引き起こされる。このLHサージが引き金となって排卵現象が始まり,LHサージ開始の34〜42時間後に成熟卵が放出され,排卵が完了する。LHサージの開始はE2ピークの時期に一致しており,proges—terone(P)の増加はLHサージ開始の約12時間前に始まり,LHサージ開始の数時間後にE2は急激に減少するのに対し,Pは黄体化の進行に伴い増加し続ける2)。排卵の時期の診断は,これら一連の現象の捕捉により可能となる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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