臨床婦人科産科47巻10号

1993年10月発行

今月の臨床 不妊の原因を探る

精子

30．精液検査の評価と治療方針

著者： 高橋克彦¹ 竹中真奈美¹

所属機関： ¹高橋産婦人科・HARTクリニック

ページ範囲：P.1230 - P.1231

文献概要

　精液所見がわるい男性不妊症の妊娠率が低いことは明らかであり，それゆえ不妊症検査において精液検査が重要であることは言うまでもない。しかしながら，現在広く使用されているWHOの正常値（1987年）と精子妊孕能とに相関関係がないということもすでによく知られている事実である。とくに近年体外受精・胚移植（IVF）の応用により，重度乏精子症でも妊娠が可能となった反面，まったく正常精液所見の男性でもかなりの高率で精子受精障害が存在することが明らかとなった。