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Current Research
—子宮癌発生における複数の遺伝子異常—I.子宮頸癌における遺伝子異常
著者: 井上正樹1
所属機関: 1大阪大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.1233 - P.1240
文献購入ページに移動はじめに
癌は体細胞1個のDNAの中に複数の変異が蓄積して,細胞が増殖の制御能力を失ってしまったときに起こる遺伝子の病気であることが最近の基礎医学研究で明らかになり,ヒトの細胞の癌化には癌原遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の不活性化などの複数の遺伝子変化が多段階的に蓄積することが必要とされている。さらに,外来性のウイルス癌遺伝子もこれら癌原遺伝子,癌抑制遺伝子との協同作用を通じて発癌に重要な役割を担っている。
婦人科臓器の癌,とくに子宮頸癌,体癌の多くは,一連の前癌病変を経て多段階的に発生することは,多くの臨床病理形態学的知見や追跡調査によりすでに示されている。前駆病変の概念の確立した子宮癌は遺伝子解析と臨床病理像との接点が求めやすく,遺伝子レベルでの発癌を考える上できわめて示唆に富む癌といえる。また,近年,日本では子宮頸癌の減少と子宮体癌の増加が指摘され,同じ臓器の癌でありながら異なる様相を呈することもきわめて興味ある点である。
癌は体細胞1個のDNAの中に複数の変異が蓄積して,細胞が増殖の制御能力を失ってしまったときに起こる遺伝子の病気であることが最近の基礎医学研究で明らかになり,ヒトの細胞の癌化には癌原遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の不活性化などの複数の遺伝子変化が多段階的に蓄積することが必要とされている。さらに,外来性のウイルス癌遺伝子もこれら癌原遺伝子,癌抑制遺伝子との協同作用を通じて発癌に重要な役割を担っている。
婦人科臓器の癌,とくに子宮頸癌,体癌の多くは,一連の前癌病変を経て多段階的に発生することは,多くの臨床病理形態学的知見や追跡調査によりすでに示されている。前駆病変の概念の確立した子宮癌は遺伝子解析と臨床病理像との接点が求めやすく,遺伝子レベルでの発癌を考える上できわめて示唆に富む癌といえる。また,近年,日本では子宮頸癌の減少と子宮体癌の増加が指摘され,同じ臓器の癌でありながら異なる様相を呈することもきわめて興味ある点である。
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