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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科47巻11号

1993年11月発行

文献概要

今月の臨床 胎児環境をチェックする 胎盤機能からみたIUGR

8.IUGRの発症機転と成長因子

著者: 工藤美樹1 武田佳彦1 岩下光利2

所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科 2東京女子医科大学附属母子保健総合医療センター

ページ範囲:P.1291 - P.1293

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 胎児はその発育に必要な構成素材やエネルギーなどの栄養物質のすべてを母体に依存して成長するが,これら栄養物質はすべて胎盤を介して母体血中より胎児血中へ供給されている。したがって,この部位における代謝物輸送の機能により胎児の成長や成熟が調節されている可能性があり,機能低下により子宮内胎児発育遅延(IUGR)が生じると考えることができる。近年,種々の成長因子(growth factor)のうちinsulin like growthfactor(IGF),epidermal growth factor(EGF),nerve growth factor(NGF)などが胎児発育に関与していることが報告されてきている1)。成長因子とは,標的細胞のDNA合成を促進する一群のポリペプタイドホルモンの総称で,その作用発現の過程において細胞内へのアミノ酸やグルコースなどの代謝物の取り込みを活性化している。すなわち,これらの成長因子が胎盤絨毛上皮細胞内への栄養物の輸送を,結果的に母体から胎児への経胎盤性輸送を調節することによって胎児の発育を調節している可能性が考えられる。本稿では,成長因子のうちIGFとその結合蛋白であるinsulinlike growth factor binding protein(IGFBP)の胎児発育における生理学的意義およびIUGR発症への関与について論じる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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