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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科47巻5号

1993年05月発行

雑誌目次

今月の臨床 産科外来検診マニュアル 妊娠初期

1.初診時の検査

著者: 佐川正 ,   田中俊誠 ,   藤本征一郎

ページ範囲:P.456 - P.458

 性成熟期の女性が来院した場合には,つねに妊娠の可能性を念頭において診察を行わなければならない。妊娠の有無を診断し,妊娠の際には分娩予定日の決定,流産や子宮外妊娠などの異常妊娠の診断,ハイリスク妊娠や胎児異常などの早期発見が初診時の検診の主な目的である。

2.妊娠反応

著者: 久保春海

ページ範囲:P.459 - P.461

 妊娠反応(免疫学的)は最近hCGのベータ・サブユニットに特異的なC末端部分に対する抗体やモノクローナル抗体を利用した2重抗体法などの開発によって,その感度,特異性が非常に高い試薬が用いられるようになった。このため予定月経の開始前に妊娠を予測することも可能であり,5,6年前より一般に妊娠検査薬が市販されたこともあって,今では患者自身が病院に来る前に自分で検査してから来院するのがごく当たり前のことになりつつある。
 妊娠の早期診断は医師にとっても,診断を希望する患者にとっても望ましいことではあるが,妊娠反応はあくまでも妊娠の診断の補助手段の一つであり,病院における医師の問診,診察,超音波検査を受けることが原則であることを周知徹底させなければならない。hCG産生腫瘍などの非妊娠性疾患や妊娠であってもそれが正常妊娠であるか流産,子宮外妊娠であるかは妊娠反応のみで早期診断をくだすことは不可能である。

3.経腟超音波

著者: 高柳真

ページ範囲:P.462 - P.464

 超音波診断法は一般に産婦人科領域に応用され始めてから約20数年が経過した。
 1978年頃から電子スキャンが導入され胎児の運動,胎児心拍動が直接観察できるようになり,現在ではほとんどの産婦人科施設で使われるようになった。また1986年頃から経腟超音波診断用の経腟プローブが開発され,画像が著しく改善され,妊娠初期の胎芽,胎児の発育,流産,奇形,子宮外妊娠,頸管無力症など異常妊娠のスクリーニング,不妊症領域では卵胞発育のモニタリング,子宮内膜の変化などが容易に観察でき,IVF-ET時の採卵が経腹壁採卵に比べてきわめて容易になった。

4.妊娠週数の推定と分娩予定日の修正

著者: 竹村秀雄

ページ範囲:P.465 - P.467

 妊娠週数を正確に知ることは分娩予定日を確認するためだけではなく,LGAやSGAなど,その後の胎児発育評価のためにも必須の手続きである。妊娠初期の超音波スクリーニングで妊娠週数の推定と分娩予定日の修正を行うことにより,それまで8〜9%もあった過期産が2〜3%に減少することを経験している(図1)。ここではわれわれが日常の診療において行っている方法の実際について述べてみたい。

5.風疹抗体価の評価

著者: 干場勉

ページ範囲:P.468 - P.470

検診の手順と方法
 妊婦の風疹に関する検診の目的は妊娠後の感染の発見と免疫保有状況の確認であり,後者は今後の感染の可能性とワクチン接種の必要性を検討するためのものである。
 検査法は赤血球凝集抑制反応(HI)とELISAによる風疹ウイルス特異的IgM抗体測定が主である。風疹IgG抗体検査はHI法で偽陽性疑いや低抗体価のときに抗体の有無をELISAで調べるために用いる。

6.HIV検査とその対応

著者: 吉原なみ子

ページ範囲:P.472 - P.475

 後天性免疫不全症候群(AIDS)はレトロウイルスの一種のHIVの感染により免疫不全が引き起こされ,種々の日和見感染を伴う致死率の高い疾患である。HIV検査をする目的は本人がHIV感染によって将来AIDSになるかもしれないことを認識することとともに他人への感染源となりえることを知ることにある。とくにHIV感染妊婦の約3割に母児感染が起きるので的確な対応が必要である。

7.STDへの対応(妊娠初期における)

著者: 猪俣吉広

ページ範囲:P.476 - P.481

 従来,性病と言われていた4疾患から,性行為による感染症を総称して,STD〔sexually trans—mitted discase,性感染症(性行為感染症)〕と言うようになって久しい。
 原因になる微生物を表1に示した。STDの種類は多いが本稿では,日常の臨床でとくに妊娠との関係で留意すべきもの5つの疾患を対象として,著者の行っている対応を中心に述べたい。なお,HIV感染についてはその項に譲る。

8.絨毛診断

著者: 鈴森薫

ページ範囲:P.482 - P.485

 遺伝性疾患の出生前診断は羊水検査が中心的な役割を果たしながら進展してきたが,最近,妊娠初期に実施できる絨毛検査が登場し,わが国でも臨床応用されるようになっている。絨毛採取法の手技については既に筆者を含め諸家が詳しく紹介しているので1〜5),今回は実際的な運用についてわれわれの経験を述べてみたいと思う。すなわち,当教室では過去7年半にわたって出生前診断に両検査法を併用しているが,その成績を比較検討した。

9.流産の予後診断

著者: 吉田信隆

ページ範囲:P.486 - P.487

 流産の予後診断に経腟超音波断層法が用いられる以前は,妊娠初期(12週未満)の切迫流産の初期症状として,下腹部痛や性器出血が重要な症状であるとされて来た。しかしながら,経腟超音波断層法を用いて数mmの胎児や胎嚢が確認できる状態となった現在においては,出血や下腹部痛が出現する以前において流産の予後判定が可能となり,妊娠4〜6週では妊娠反応の推移と胎嚢の出現,それ以降では胎児の心拍動と胎児の大きさの成長程度が予後判定に重要であることが報告されている。
 そこで妊娠の初期に陽性となる検査の順序が問題となる。表1に体外受精で正常経過をたどった妊娠の妊娠反応の推移・胎嚢〔子宮内膜の内腔にほぼ接した形で,輝いたリング状に描出される(約3mm以上)〕・卵黄嚢そして胎児心拍動それぞれの確認時期を示した。正常妊娠では体外受精より数日早くこれらの検査結果が得られると考えられる。妊娠の初期において各検査結果が陽性を示す順序はこの表の通りであり,切迫流産の予後を診断する場合,妊娠6週までは胎嚢の出現と妊娠反応の推移が重要であり,それ以降では胎児心拍動の確認・卵黄嚢の確認が重要であることが示されている。

10.子宮外妊娠

著者: 谷俊郎

ページ範囲:P.488 - P.489

 高感度hCGの測定キットと経腟超音波診断装置の普及によって,子宮外妊娠の診断は以前に比べて妊娠初期からより正確に下されるようになった。
 そのためかつてのように大量の腹腔内出血を伴う典型的な症例に遭遇することは少なくなったが,完全流産との鑑別に迷う卵管流産例や機能性出血と紛らわしい陳旧例に悩まされることは今なおしばしば経験するところである。また排卵誘発療法や配偶子操作による不妊治療は子宮外妊娠の発症頻度を単に高めるだけではなく,従来の診断基準の常識を覆する子宮内外同時妊娠をも惹起しやすいことが明らかとなり,このことを念頭において診断にあたらないと重大な結果を招来することになる。

11.多胎妊娠

著者: 関守利 ,   竹内巧 ,   田村仁 ,   伊吹令人

ページ範囲:P.490 - P.493

 近年,多胎の発生率は排卵誘発剤,assistedreproductive technology1),母体の高齢化,環境因子の変化などにより増加し,品胎(三胎),要胎(四胎),周胎(五胎)妊娠も見られるようになってきた。
 多胎妊娠は単胎妊娠と比較して早産,低体重児,仮死分娩などの合併が多く,周産期死亡や奇形の合併率が高いなどハイリスク妊娠の代表的疾患である。妊娠初期に診断することはその後の妊娠管理を行っていく上で重要である。

12.卵巣腫瘍合併妊娠

著者: 山中恵

ページ範囲:P.494 - P.496

 妊娠の診断ということについて言えば,最近では,医療側の啓蒙と婦人の意識の向上により,妊娠初期,それも4〜5週で初診例が多くなっている。一方,低単位hCGの測定法や超音波断層法などの検査法の進歩によって,妊娠初期からの正常妊娠と子宮外妊娠あるいは胞状奇胎などの鑑別が容易になり,妊娠の疑いを持って来院した患者には,超音波断層法(経腹,経腟)を行うことがルーチン化される傾向が強い。したがって以前のように内診だけでは見逃していた,妊娠に合併した卵巣腫瘍を発見することはまれではなくなる反面,対応に苦慮する機会も多くなった。

13.頸管無力症

著者: 佐賀正彦

ページ範囲:P.497 - P.499

 頸管無力症は,妊娠中期以降にみられる習慣流早産の原因のひとつで,外出血や陣痛などの切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態である。既往妊娠時に受けた陳旧性頸管裂傷や,先天的な頸管組織の異常により,妊娠中期以降になると妊娠が維持できなくなり,頸管が開大し,続いて胎胞が膨隆し,流早産へ移行する.通常は無症候性である1)
 しかし一般的には慢性的な弱いが持続的な子宮収縮による症例が含まれることが多い、、頸管無力症例の流早産機序について考えてみると,妊娠初期,羊膜腔(胎嚢)は子宮腔内の一部に存在し,子宮峡部は管状構造を保っているが,妊娠14週頃になると被包脱落膜が壁脱落膜と癒合し絨毛膜腔は消失し羊膜腔は子宮腔のほぼ全体を占めるようになり,また子宮峡部は展開して子宮体部と一体となって卵形になる(図1)。したがって羊膜腔が子宮頸部上端に達し,羊膜下極が子宮頸部に対し物理的な力として作用するのは妊娠14週以降ということになる。こうしたことから妊娠初期では一般に診断は困難である。

妊娠中期

14.妊娠中期の検診

著者: 今中基晴 ,   荻田幸雄

ページ範囲:P.500 - P.502

 妊婦検診は妊娠の診断がついてから分娩に至るまで定期的に一定の方式に従って行われ,妊婦ならびに胎児の評価に基づいて妊娠,分娩中に母体,胎児に起こり得る異常を早期に検出し,適切な対処,保健指導ができるようにすることを目的としている。
 妊娠中期における妊婦検診は,妊娠27週までは4週間ごと,妊娠28週以降では2週間ごとに行われるのが一般的で,ハイリスク妊娠ではリスクの度合いにより短縮する。この時期においては,胎児異常のスクリーニングならびに胎児発育の評価,前置胎盤や羊水量異常など胎児付属物の検索だけでなく,切迫早産,妊娠中毒症の発症などにも注意する時期であり,また,合併症があれば十分にコントロールしておくことが望ましい。

15.妊婦貧血

著者: 貝原学

ページ範囲:P.503 - P.505

 われわれが日常診療上遭遇する疾患として,いわゆる妊婦貧血ほど頻度の多いものは他にないであろう。さらに,このように頻度が高いにもかかわらず放置されている疾患は他にないであろう。
 1991年に日産婦栄養問題委員会は,このように放置されていた妊婦貧血の現状分析を行い,貧血に関する用語や診断基準についての試案を作成し報告している1)。それによると「妊婦貧血」の定義は,妊婦にみられる貧血の総称であるとし,そのうち,妊娠に起因する貧血でHb値11g/dl未満およびHt値33%未満のものを「妊娠性貧血」と定義している。さらに妊娠性貧血のうち小球性低色素性であり,血清鉄の低下,TIBCの一上昇など,鉄欠乏が確認されるものは「妊娠性鉄欠乏性貧血」というと取り決められている(表1)。

16.胎盤の位置決定

著者: 大屋敦

ページ範囲:P.506 - P.507

 従来胎盤は,内診所見や単純X線撮影,X線造影法(膀胱,羊水),ラジオアイソトープ,赤外線,超音波ドップラーなどによって観察されていた。しかし,近年は超音波断層装置が普及し,さらに超音波診断法の進歩に伴って胎盤を観察するためには超音波断層法が不可欠の方法となっている。
 胎盤の観察でとくに注意しなければならないのは胎盤位置の診断で,正常位置にあるかあるいは前置胎盤,低置胎盤,頸管胎盤などであるかを知ることである。胎盤の位置によってはそれ以降の妊婦および胎児の予後が変わってくる可能性があるし,また妊娠経過の観察と分娩の対処方法,心構えなども変わってくる。

17.羊水検査

著者: 前田徹

ページ範囲:P.508 - P.509

手順と方法
 妊娠中期の羊水検査は染色体異常,一部の遺伝性疾患の診断,伴性劣性遺伝病の家系における胎児性別の判定,胎児成熟度の判定などを目的として行われる。なかでも胎児染色体異常の出生前診断のために実施されることが最も多いのでこれを中心に述べる。

18.血液型不適合

著者: 浮田昌彦

ページ範囲:P.510 - P.512

 日本人のRho(D)陰性の頻度は0.5%にすぎず,抗D免疫グロブリン(RhIg)投与の普及によりD不適合による新生児溶血性疾患(hemolyticdisease of the newborn;HDN)は著明に減少したが,RhIg発売後20年近くを経た現在においても,治療を必要とするHDNはD不適合によるものが最も多く,ときには胎児期から治療を要する重症例がある。Rho(D)陽性妊婦における血液型不適合によるHDNは相対的に増加しているが,重症例は少ない。ABO式血液型不適合によるHDNは重症例はまれであり,妊娠中の検査は必要としない。

19.切迫早産

著者: 関博之 ,   竹田省 ,   木下勝之

ページ範囲:P.514 - P.515

 早産児のうち,とくに妊娠26週以後32週未満で出生する超未熟児や極小未熟児の場合は,救命しえたとしても,児の未熟性ゆえに障害を残すリスクが高いことから,早産の防止は,周産期領域における残された重要な課題の1つである。早産の発症を防止するためには,切迫早産の発症を予防すること,さらに切迫早産徴候を早期に,的確に診断し,管理することがたいせつである。そこで,本稿は切迫早産の予防に関する外来管理法について述べる。

20.前期破水

著者: 永井公洋 ,   池ノ上克

ページ範囲:P.516 - P.517

 前期破水は全妊娠の6〜20%に起こるとされ,その約60%は4日以内に,そして90%近くのものが1週間以内に分娩に至るといわれている1)。前期破水の予後は児の未熟性と母児双方の感染の危険性によって大きく左右される。本稿では前期破水の診断とその注意点や問題点を述べ,前期破水例の管理方針をまとめてみたい。

21.腎機能障害

著者: 日高敦夫

ページ範囲:P.518 - P.521

 妊婦の腎機能測定は,純粋・混合型妊娠中毒症の病態把握にとって必須であり,それは母児管理のあり方ならびに妊娠継続の可否判定にとって資することになる。また腎疾患症例の妊娠許可の判定を始め,その他,妊娠経過に伴う血圧,Ht値などの変動を同時に知ることから,子宮内許容限界つまり分娩発来時期の接近を予測しうることも可能である1)
 このような意味合いにて,ここでは妊娠経過に伴う正常妊娠ならびに妊娠高血圧(PIH)例の腎機能の変遷推移をもとに,妊娠中毒症増悪とターミネイションを考慮すべき所見について自験例を含め述べてみる。

22.糖尿病

著者: 濱田悌二

ページ範囲:P.522 - P.523

 糖尿病(DM)をもつ婦人の妊娠(糖尿病合併妊娠)や,妊婦中に発生した糖代謝異常(妊娠糖尿病・GDM)はともに胎児・新生児に多彩な合併症(糖尿病性胎児病)をきたすことで知られる。同時に,母体側合併症(網膜症・腎症など)の増悪やGDMの分娩後,時を経てのDMへの進展もまた重要な関心を払うべきものである。
 以上への対応としてまず心がけることは,妊娠前からのDM管理とともに,見過ごされたDMの妊娠中の早期発見,治療とGDMの発見,管理である。

23.自己免疫疾患

著者: 安達知子

ページ範囲:P.524 - P.528

 自己免疫疾患は生殖年齢の女性に好発することが知られている。妊娠に合併した場合は,①妊娠が自己免疫疾患に及ぼす影響,②自己免疫疾患が妊娠に及ぼす影響,③自己免疫疾患が胎児,新生児に及ぼす影響,の3つの方向から管理していくことがたいせつである。以下,代表的自己免疫疾患として,全身性エリテマトーデス(SLE),慢性関節リウマチ(RA),甲状腺機能亢進症,橋本病,血小板減少性紫斑病(ITP),全身性硬化症(PSS),重症筋無力症について,上記3つの観点から検診対応の仕方についての基本方針を述べる。

24.CISへの対応

著者: 和田順子

ページ範囲:P.530 - P.531

 妊婦に合併した子宮頸部上皮内癌(以下CISと略)患者の発生頻度は,筆者の0.03%をはじめ諸家の報告はいずれも0.02〜0.11%ほどであり,生殖年齢にある非妊婦の発生頻度に比べても大きな差はないようである1,2)。上田ら3)の10年間のデータでは,妊婦に合併したCISの60例について発見の端緒はすべて妊娠診断時の細胞診であった。この事実から無症状の妊婦における初診時の癌検診は絶好の機会であり,筆者もその重要性を強調しておきたい。

25.子宮筋腫合併妊娠

著者: 藤井信吾

ページ範囲:P.532 - P.534

 妊娠中に遭遇する骨盤内腫瘍の中で,子宮筋腫は最も頻度の高い(0.3〜2.6%)良性腫瘍である1)。しかし,実際に臨床的に気づかないものを含めるとその頻度はこれよりも高いものと考えられる。子宮筋腫は不妊の原因となると多くの教科書で記載されているが,筋腫を持ったまま妊娠・分娩に至るものも多い1-3)
 以下に子宮筋腫合併妊娠の外来での検診について記載したいが,検診の際にたいせつなことは,子宮筋腫が妊娠中にどのような病態を呈し,それが妊娠にどのような影響を与えるのかといった知識の整理が必要と思われるので,まずその点から記載を始めたい。

26.肥満妊婦

著者: 山口昌俊

ページ範囲:P.535 - P.537

 肥満は過度に体脂肪が蓄積した状態をさすが,しばしぼ糖尿病や高脂血症などの内科疾患を合併するのみでなく,肥満妊婦では産科合併症が高率にみられる。また,妊娠自体が女性肥満の誘因となりうる。本稿では,肥満妊婦の産科管理指針を簡単にまとめてみたい。

27.胎児の発育評価

著者: 香川秀之

ページ範囲:P.538 - P.540

 妊娠中期以降の検診では,超音波断層法を用いて,胎児頭部,躯幹,四肢などを計測することにより,胎児各部の発育を個別に評価するとともに,各部の発育のバランスや各計測値より計算した推定児体重により,胎児発育の総合的な評価を行うことが可能である。

28.IUGR(胎児発育遅延)への対応

著者: 安水洸彦

ページ範囲:P.541 - P.543

 IUGR(intrauterine growth retardation:子宮内発育遅延,胎児発育遅延)とは,何らかの原因で胎児の発育が遅延あるいは停止したため,在胎期間に相当する正常な児の発育がみられない状態をいう。具体的には,①超音波像による推定児体重が,該当する妊娠週数での基準値の下限未満,あるいは②出生児体重が基準値の下限未満のものを指す1)。厳密には①はIUGRの疑診であり,②はlight for date児とするほうが適切ではあるが,概念的にもまた字義上もIUGRとして誤りではないので,ともにIUGRと総称されることが多い。外来診療の対象となるのは①の例である。

29.IUFD

著者: 宮崎豊彦 ,   名取道也 ,   野澤志郎

ページ範囲:P.544 - P.545

 WHOの定義では(子宮内)胎児死亡(intra—uterine)fetal death IUFDとは,妊娠期間に関係なく,子宮内で胎児生存が確認された後,妊娠による生成物が母体から完全に排出または娩出する前に死亡した状態をいう。
 本稿では妊娠中期でのIUFDの診断と対応について述べる。

30.胎児徐脈

著者: 宇津正二

ページ範囲:P.546 - P.548

 妊娠中期の産科検診では,正常妊娠経過の場合でも,ときどきドキッとするほどのゆっくりしたリズムの胎児徐脈に遭遇することがある(60〜100bpm)。
 ほとんどの例は,ドプラ心音をじっときいていると数秒ほどで回復する一過性の徐脈発作のことが多いが,なかには母体の体位変換や酸素吸入などの後に,やっと回復するような胎児徐脈もある。

31.羊水過多

著者: 前田博敬

ページ範囲:P.549 - P.551

 羊水の胎児生態系を含めた生物学的役割を考慮した場合,少なくとも妊娠中期以降においては,羊水は胎児の尿産生や嚥下を介して胎児自身の機能を表現している。したがって,羊水の量の変化は胎児および子宮内環境の変化を背景に担った羊水循環の反映であると言える。ここに,羊水量を測定しそれを基礎に胎児の諸種の状態を論ずる根拠がある。本稿では羊水の生物学的意義,羊水量の異常のなかでも羊水過多について臨床的評価法ならびに対応策について概説する。

32.羊水過少

著者: 清水郁也

ページ範囲:P.552 - P.554

 羊水過少は胎児にとって重篤な妊娠合併症の一つであり,従来より胎児奇形やIUGRに合併し,予後不良の例が多いことが数多く報告されている。ここではまず当科における羊水過少の症例の内訳を紹介した上で,診断の進め方について述べる。

33.奇形スクリーニング

著者: 今井史郎

ページ範囲:P.555 - P.557

 胎児奇形を出生前診断する手段として超音波断層法は不可欠である。最近は経腟プローブを使用することで,胎児奇形の診断可能週数はどのくらい早期であるかについての報告がみられるようになった。表1に胎児構造・奇形がどの週数から診断できるかを記した1)。しかしながら胎児奇形を診断する時期に関しては,妊娠20週前後にスクリーニング法として超音波断層法を使用することで発見されることが多い。また児の発育度の異常あるいは羊水量の異常によって胎児奇形を疑い,診断されることもしばしば経験する。各臓器の奇形の診断に関しては他に譲り,今回は奇形と児の発育度および羊水量の異常との関連性から,奇形スクリーニングの一助たるを目的とした。以下の成績は大阪府立母子医療センターで経験した症例についてである2)

妊娠後期

34.後期の検診

著者: 久保武士

ページ範囲:P.558 - P.560

 胎盤,羊水,胎児異常,IUGRなどは妊娠中期より注意すべき検査項目であるし,妊娠中毒症はその早期発症に注意してこれもまた中期から注目すべき項目である。
 子宮底長,腹囲,体重,血圧,尿蛋白,尿糖,浮腫などのroutineの検査項目は全妊娠期間を通してcheckすべき項目である。

35.頸管の成熟度

著者: 平川舜

ページ範囲:P.561 - P.563

頸管成熟の産科的意義
 頸管成熟度とは児の娩出が円滑に進行するための産道因子の準備状態を示すものである。妊娠の中期には硬く未熟な頸管も,妊娠の進行に伴って内分泌環境の変化によって頸管を構築する結合組織の組み換えが進み1),妊娠35週頃からBraxton—Hicks収縮の活発になる時期に一致して頸管の軟化が始まる2)。頸管の軟化を基盤として,前陣痛により頸管の展退と開大が徐々に進行し,妊娠38週以降に頻発する分娩陣痛の発来によって頸管の熟化は急加速される。初産婦では子宮壁の緊張が強いため産科的内子宮口が早期より開大し,児の下降と頸管の展退が先行するが,経産婦では緊張が弱く胎児の下降が遅れ,展退も直前まで進行しない。

36.妊娠中毒症

著者: 古橋信晃

ページ範囲:P.564 - P.566

妊娠中毒症ハイリスク因子のチェック
(表1)
 問診によって妊娠中毒症ハイリスク因子のチェックを行う。これらハイリスク因子保有妊婦については生活・食事指導を行う1)。 とくに定期的受診を励行させ,肥満妊婦の体重コントロールを適切に行うことが重要である。理想的にはハイリスク因子保有婦人に対する妊娠準備指導2)が有用と思われるが実行困難な場合が多い。また,図1に示したごとくの発症予知検査を行う。

37.前回帝切妊娠例の検診の手順とその評価・対策

著者: 米谷国男

ページ範囲:P.568 - P.569

 前回帝切妊娠例ははたして増えているのであろうか?。この問いを関連病院の何人かの産婦人科医長に質したところ,異口同音にそれは増えているという返事がかえってきた。
 女性は結婚すると平均して約2回出産する(子供は2人)というわが国の人口動態統計上の事実を考えると,前回帝切妊娠例が増加しているということは,初回妊娠・分娩の帝切率が高いことと関連を持っていることは明白である。初回妊娠・分娩時の帝切率は,近時小産小死の定着,胎児モニタリングの発達,女性の晩婚化に伴う高年初産,骨盤位の帝切率上昇などのさまざまな理由から漸次上昇してきたとみてよいであろう。また,早産未熟児の出産はintact survivalの観点からほとんど帝切分娩が選択されるということも帝切率を高めているという大きな理由となっている。

38.CPDの評価—陣痛発来時とその後のCPDの評価

著者: 西島光茂

ページ範囲:P.570 - P.572

 児頭骨盤不均衡Cephalo-Pelvic Disproportion(CPD)は児頭と骨盤の大きさ(径線あるいは角度)に関係した因子の相対的な不適合による難産状態(dystocia)として理解されている。
 しかし産科臨床においては,CPDのみならず侵入異常,回旋異常や微弱陣痛などそれぞれ独立した異常が2つ以上合併して発生することが多く,したがって産科外来におけるCPDの評価とはCPDの存在を疑うことから始まり,何らかの方法で証明または試みることにより行われるスクリーニングである。

39.過期妊娠

著者: 雨森良彦

ページ範囲:P.574 - P.577

 妊娠42週を超過するものを過期妊娠(posttermPostdate, prolonged pregnancy)と呼称する。ふつうは妊娠38〜42週で分娩が発来するが,4〜10%はこの過期産となる。機序の詳細は不明である。過期産の25%は胎児の発育栄養はよく維持され,出生時児体重も3,500gを超える。しかし一方,25%は胎児の栄養は亜急性に障害されpost maturitysyndromeと呼ばれるごとくいろいろな徴候を示す:皮下脂肪欠如,頭髪は多い,うぶ毛と胎脂は欠除,指先を超える爪,皮膚の剥離,羊水混濁である。新生児室ではよく低血糖が発見される。栄養不良でglycogenの貯蓄が少なくなりがちである。この過熟症候群は予定日超過によくみられる胎盤機能低下が増悪したためで往々にして羊水過少症をともない子宮胎盤呼吸系機能が悪化して,胎内死亡,分娩中の胎児仮死を起こしやすくする。羊水吸引症候群(meeonium aspiration syn—drome)は新生児に致命的になりうるが分娩時の適切な処置で予防可能。

40.胎児の発育

著者: 吉沢浩志

ページ範囲:P.578 - P.580

 胎児発育は子宮底長計測値を参考に,超音波検査による胎児各部の計測を行い,それらをパラメーターにした推定児体重(EFW)を得て評価する。胎児発育や形態異常診断を目的とするスクリーニングは,妊娠後期では30週,36週頃に行うのが一般的となっている。検診ごとに超音波検査を行う施設もあるが,各施設の事情に応じた診断体制を取って,羊水量,胎盤や臍帯の位置,臍帯頸部巻絡の有無などを観察して分娩時情報にする。

41.胎動評価

著者: 佐藤郁夫

ページ範囲:P.581 - P.583

 胎児の行動は,両親から受け継いだ遺伝的素因の影響を受け,その発生学的分化発達に伴って出現するものとされている。したがって胎児はその発育に応じて単純な動きから,より複雑な動きへと発達を遂げながら,しかも各時期に特有な一定のパターンを示しつつ出現している。近年胎動心拍数図や超音波装置の産科領域への導入は,生理的環境下での胎児の行動観察を可能にした。
 そこで,本稿では妊娠後期の胎動を臨床的な視点から評価,検討することにする。

42.胎児胎盤機能検査

著者: 齋藤裕 ,   盛本太郎

ページ範囲:P.584 - P.585

 胎児と胎盤は臍帯血行を介して密接な関係にあり,その機能を生化学的,生理学的に評価して妊娠管理を行うことは産科臨床上最も重要なことである。表1に胎児胎盤機能検査法を掲げた。近年はもっぱら,fetal-wellbeingの評価法として,胎児心拍モニタリング,血流計測,血液ガス分析による生理学的検査法が臨床上重要視されているが,産科外来での検診チェック項目として従来からの生化学検査法による機能評価が必要なことは言うまでもない。本項では産科外来における生化学的胎児胎盤機能検査,とくに尿中エストリオール(E3)と血中hPL測定について述べる。

43.胎児の位置異常

著者: 岩崎寛治

ページ範囲:P.586 - P.588

 妊娠後期に胎位の異常を認めていても,分娩周辺になると胎児は縦位をとり,全体の95%は頭位となる。残り5%に胎位の異常を認めることになる。

44.胎児の肺成熟

著者: 佐川典正

ページ範囲:P.590 - P.593

 出生後の胎外呼吸に適応するため,胎児肺は胎生後半期に形態学的にも機能的にも大きく変化する。形態学的には終末肺胞(terminal alveolarsaccules)の形成,円柱上皮のI型およびII型細胞への分化,間質組織における血管系の発達などがみられる。機能的には,肺胞壁のair-liquid inter—faceにおける表面張力を減少させ生理的な胸腔内陰圧でも肺胞が十分拡張し吸気を取り込むことを可能にさせる表面活性物質(surfactant)がII型細胞で合成分泌されるようになる。II型細胞から肺胞内に分泌されたsurfactantは胎児呼吸運動により羊水中に放出されるので,羊水中に存在するsurfactantを定量することにより,胎児肺の機能的成熟度をin situでしかも経時的に推定することができる。
 ヒト胎児では,通常妊娠36週までに肺が機能的に成熟する。したがって,正常妊娠では胎児の肺成熟度が問題となることはない。しかし,妊娠中毒症や前期破水など合併症妊娠では,分娩時期を決定する上で胎児の肺成熟度が問題となる。本稿では,これまでに提唱されているsurfactantの測定法のうち,手技の簡便さおよび正確度から臨床的に有用と考えられるものを中心に述べたい。

45.胎児の循環機能

著者: 秦利之 ,   北尾学

ページ範囲:P.594 - P.597

 現在,子宮内における胎児の循環機能を評価する第一の方法は超音波ドプラ法である。血流計測が可能である胎児の血管としては,前大脳動脈,中大脳動脈,後大脳動脈,内頸動脈,総頸動脈,大動脈,肺動脈,動脈管,腋窩動脈,脾動脈,上腸管膜動脈,腎動脈,総腸骨動脈,内腸骨動脈,外腸骨動脈,大腿動脈,臍帯動脈,下大静脈,臍帯静脈などが報告されている。外来において胎児の循環機能評価が必要となる主な疾患は子宮内胎児発育遅延(IUGR)であり,それに対する検診の手順と方法について解説する。

46.胎児の心機能

著者: 松岡優 ,   福家義雄 ,   西岡敦子

ページ範囲:P.598 - P.600

 胎児の心機能を評価するには心エコーの利用が実用的である。厳密には分けれないが,ポンプ機能,心収縮能,拡張能を別々に評価するべきである。その算出方法に容量の変化,壁運動および時相が利用されている。

47.胎児採血

著者: 是澤光彦

ページ範囲:P.602 - P.603

 現代の産科診療は,分娩管理だけでなく,妊娠中の母体管理と胎児管理を重視する方向で進んできている。その中で,胎児管理のもととなる出生前診断法の発展が産科管理全体の改革につながった。
 出生前診断法は,大きく超音波診断法を中心とした画像診断法と羊水穿刺,胎児採血などの生検法とに分けられる。画像診断法は,胎児への影響なしに,胎児発育や胎児wellbeingの診断が可能であるため,胎児診断法として最も大切な方法である。ところが,画像診断により,胎児に胎児水腫のような異常が見つかった場合,その原因は画像診断では確定できない。すなわち,胎児採血により,血液性状の情報がないとそれ以後の治療方針が立てられない。このため,胎児採血は胎児に侵襲的な検査ではあるが,他では得られない情報を与えてくれる。

48.NST(non stress test)

著者: 吉原一

ページ範囲:P.604 - P.606

 Non stress test(NST)は1968年にHammacher1)らの健康な胎児は胎動に連動して心拍数の一過性増加を示すという報告から開発された胎児well—beingの評価法である。現在では機器の性能も向上し,偽陰性が少なく,簡単に施行でき,禁忌がなく,結果がすぐに得られることから産科臨床において不可欠の検査法になっている。

49.CST(contraction stress test)

著者: 金岡毅

ページ範囲:P.608 - P.609

 子宮内胎児死亡の2/3は分娩発来前に発生し,これらの死亡の多くは胎盤機能不全による胎児低酸素血症に起因する1)。したがってハイリスク妊娠においては妊娠中の胎児評価が必要であり,これによって潜在(慢性)胎児仮死を認める場合には,適切な時期に妊娠を中断(termination)しなければ胎児に低酸素性脳障害が発生したり,胎児死亡が発生する危険性がある。

50.バイオフィジカルプロファイル

著者: 武久徹

ページ範囲:P.610 - P.614

 分娩前胎児管理試験として,①禁忌がなく,②未熟胎児に対する検査として胎児の未熟性をほとんど考慮する必要がなく,③現在利用されている胎児管理試験の中で分娩前胎児死亡率がきわめて低率であるなどの理由から北米では現在分娩前胎児管理試験として不可欠な検査となっている。しかし,残念ながらわが国ではbiophysicalprofile(BPP)が北米並みに十分施行されているとは言えないのが現状である。ドップラーによる血流測定による分娩前胎児管理試験はその有用性がまだ実験段階であり1),fetal heart rate(FHR)モニタリングによるNST以外の分娩前胎児管理試験が北米並みに普及していないわが国の分娩前胎児管理試験は,北米と多くの点で違っている。とくにNST単独の分娩前胎児管理は信頼度が低い2)ことは,欧米の多くの研究が示しているため,わが国でもより信頼度の高い検査としてBPPの普及が望まれる。
 今回,BPPに関するいくつかの問題点を考察し,現時点におけるBPPの有用性を考えてみる。

51.妊婦のマイナートラブル

著者: 伊藤博之

ページ範囲:P.615 - P.617

 妊婦の訴える愁訴はきわめて多く,それらは妊娠によって生じたホルモン,代謝,呼吸循環,物理的な負荷によって発症するが,妊娠の経過や胎児の予後にはあまり影響を与えない。しかも愁訴の大部分は分娩の終了とともに自然に消失する。そのため,これらの愁訴はマイナートラブル(minor troubles)といわれ,あまり問題にされないまま放置される傾向にある。しかし,妊婦自身にとってはけっこう不快であり心配の種でもある。さらに,愁訴のなかには重大な疾患の前ぶれとしてのサインであることもあり,その鑑別には慎重を要する。
 本項では,産科外来でマイナートラブルを取り扱う上での留意点(表1)と代表的な愁訴のいくつかについて,その原因と対策(保健指導)を述べる。

産褥期

52.乳汁分泌

著者: 植村次雄

ページ範囲:P.618 - P.619

 栄養学,免疫学,心理学の観点から母乳栄養の重要性が強調され,母乳で児を育てたいと考える褥婦が増えている。実際に産褥・授乳期間を通じて母親が訴えるのは母乳栄養に関することが多く,とくに母乳不足についての訴えが多い。次いで乳腺炎,乳頭異常,断乳処理の訴えがある1)。このことからも乳房・乳汁分泌の状態を注意深く検診することは産褥期にたいせつなことである。

53.乳頭異常・乳腺炎

著者: 杉並洋

ページ範囲:P.620 - P.622

 産褥期における乳頭および乳腺の異常については児による哺乳の可否という機能的異常の有無といった観点から論じる必要がある。たとえ形態的異常があったとしてもそれが哺乳の妨げとならなければ,すなわち機能的異常でなければ,それは治療の対象とはならない。一方,形態的異常がなくとも機能的異常,すなわち乳汁産生不良など,があればそれは治療の対象とすべきであると考える。
 本稿を執筆するにあたって1992年6月1日から10月31日に当院で分娩した産褥婦235例における乳頭および乳房の形態と機能について検討を加えた。主としてこの成績をもとに児による哺乳の可否という観点から産褥期における乳頭および乳腺の異常について考察する。

54.子宮復古不全

著者: 織田利光 ,   越野立夫

ページ範囲:P.624 - P.625

概 念
 分娩直後の子宮重量は約1kgあり,6週間前後の日数を要して100g以下に達する。この退縮過程が何らかの原因で阻害されたものが子宮復古不全である。
 産褥2週間を経過しても腹壁上から子宮を触知できる場合,産褥6週で鵞卵大以上あれば,復古障害を考慮する。

55.不正出血

著者: 又吉國雄

ページ範囲:P.626 - P.628

 産褥期の不正出血は,分娩後24時間以内に認められる早期産褥出血early postpartum hemor—rhageと,分娩後24時間を経て発症する晩期産褥出血late postpartum hemorrhage(第二次産褥期出血secondary postpartum hemorrhage)に分けられる1)
 前者の代表的な疾患として弛緩出血,産道損傷,粘膜下子宮筋腫,子宮内反症,母体の低線維素原血症などがあげられる。一方,後者は,胎盤片の残存や卵膜の遺残などが最も大きな原因とされる。本稿では,その晩期産褥出血について述べるが,産褥1週間以内の比較的早期の出血については,そのほとんどが入院中に処置されるところから,主として,退院後に認められる産褥出血について,その原因,検査法などについて論述したい。

56.母児感染

著者: 山元貴雄

ページ範囲:P.629 - P.631

 わが国では近年,妊婦検診の普及と改善により,妊産婦死亡率,周産期死亡率の著しい低下が認められる。
 妊婦のrisk factorとしては,年齢や栄養のように妊婦が本来持ちあわせているものと,感染症に代表されるように,外部から持ち込まれるものとがある。

57.避妊指導

著者: 小田隆晴

ページ範囲:P.632 - P.634

 産褥期の避妊のあり方は,母性保護,家族計画の面から重要な問題である。褥婦にとって避妊を考える上で,産後の性交開始時期,産後の排卵,月経の発来時期などがポイントとなる。そこで本稿のテーマでは性生活指導,避妊指導が主流となるため,手順,方法,評価,対応策に分けることは不可能であり,指導マニュアルについて列記する。

58.産褥期に関連した適応障害(マタニティブルー)と精神障害

著者: 高橋三郎

ページ範囲:P.635 - P.637

産科の臨床単位としてのマタニティブルー
 最近,産褥期に見られる,種々の行動異常や精神障害を一括してマタニティブルーと呼んでいるようである。たしかに,その頻度,その病像,発症の仕方などで産褥期に起こる障害は特殊な面が多い。この一群は,古くから産褥精神病などと呼ばれ,産後の特別な身体的変化により起こるものと想定されてきた。
 一方,産褥期以外の時期に発症する精神障害と基本的には同じという考え方も根強い。出産はライフ・イベントとして単に発病のきっかけを作るものに過ぎないという立場である。

59.乳児1か月検診

著者: 藤村正哲

ページ範囲:P.638 - P.641

検診の目的
 1か月検診は,母と子が心身ともに健康な生活の道を歩み始めているかどうかを確認するために行う。そのためには,①単に身体的な異常をチェックするだけでなく,②児の発達・母子の愛着形成・保育内容などに踏み込んで,③小児保健指導としての総合的な診療が必要である。さらに,従来の愁訴解決型の検診から一歩進めて,両親の積極的な育児思想を育むためには,④乳児の人格を再認識するための具体的な教育プログラムなどがこれからの1か月検診のポイントになるだろう。
 以下には,健康に退院した成熟児の1か月検診を想定して述べる。

カラーグラフ 胎児・胎盤の生理と病理・17

嚢胞性腎疾患

著者: 大薗恵一 ,   中山雅弘

ページ範囲:P.451 - P.453

 嚢胞性腎疾患も胎内超音波検査の普及により診断される機会が増加した.水様物の貯留する嚢胞はエコーで検出しやすいものであり,さらに,羊水過少を合併する場合は両側性の嚢胞腎あるいは尿道通過障害が疑われる,腎疾患に羊水過少を伴い特有な顔貌を有する場合をPotter症候群とよび,肺低形成により生後早期に死亡することが多い.Potter症候群の原因としては両側腎の無形成が有名であるが,両側異形成嚢胞腎も重要である.当センターの解剖例では,両腎無形成3例に対し両側異形成嚢胞腎12例であった,従来,両側異形成嚢胞腎は非常にまれとされていたが,周産期剖検例を対象とする場合にはまれではない.Potter症候群に伴う肺低形成や胎盤所見については,本シリーズ第4回の胎盤の生理と病理“Potter症候群と羊膜結節”を参照していただきたい.
 多発性(polycystic or multicystic)嚢胞性腎疾患の分類としてはPotterの分類が有名である(表1).

Current Research

ヒト胎児行動学

著者: 小柳孝司

ページ範囲:P.643 - P.655

はじめに
 地面に残された足跡から,それが如何なる動物のものであるかを推測できるように,動作の特徴から諸種の動物の中枢神経系機能の発現も窺い知ることができる53,54)。これはLorenzが唱える行動学の視点である。行動とは,このように中枢神経系の機能とその表現型である動作とを対にして捉えることを言う。
 胎児の中枢神経系ははじめに脊髄が,追って下位脳幹が発達してくるように,解剖学的には尾側から頭側へ,機能的には低次から高次へと分化してゆく25,32,57)。解剖学的には2歳ないし3歳になるまで発達をつづけてゆくものの,ヒト胎児の脳機能は相応の水準に達して誕生を迎える19)。また,無脳症の胎児における動作の研究から,例え,脳欠落に伴って,巨視的に神経細胞数が減少している状態であっても,微視的には生理的な神経細胞の配列と構策が保持されていることが正常な動作の発現には不可欠である92)

原著

閉経後の肥満婦人における脂質代謝の臨床的検討—Dual energy X-ray absorptiometryによる体組成分析を用いて

著者: 後山尚久 ,   杉本修

ページ範囲:P.657 - P.661

 Dual energy X-ray absorptiometry(DEXA法)による体組成分析により,軟部組織に占める脂肪組織率(%Fat)を測定し,肥満度を判定するとともに,血清脂質値との関係につき,検討した。当院産科婦人科更年期・閉経期外来受診中の閉経婦人117例を対象とした。
 Body Mass Index値で25,%Fat値で30を超える例を肥満者として検討したところ,それ以下の数値を呈する例と比べ明らかに血清トリグリセライド値,総コレステロール値が高かった。さらに血清HDL—コレステロール値が肥満者(%Fat 30<)では有意に(P<0.05)低い結果であった。%Fatが30を超える肥満者では,高コレステロール血症が72.2%の高い頻度でみられた。これらから,閉経後にはDEXA法による%Fatの測定から肥満度を判定し,肥満者では高脂血症の頻度が高いため,その血清脂質値に注意を要し,高脂血症の管理を行うことが重要であると思われる。

周産期におけるヒト肝細胞増殖因子(hHGF)の動態—母乳中濃度

著者: 飯岡秀晃 ,   赤田忍 ,   島本太香子 ,   山田嘉彦 ,   阪本義晴 ,   森山郁子 ,   一條元彦

ページ範囲:P.662 - P.664

 最近発見された新しい物質であるヒト肝細胞増殖因子(hHGF)について,その母乳中濃度を中心に,酵素標識免疫測定法(ELISA)で測定を行い以下の成績を得た。
 ①母乳中のhHGF濃度は血清中の濃度に比し顕著に高い値を示し,正期産初乳では2.21±0.45ng/ml,正期産成乳では1.98±0.32ng/mlであり,また,早期産初乳では2.32土0.51ng/ml,早期産成乳では1.91±0.33ng/mlであった。 ②妊娠婦人血清中のhHGF濃度は,妊娠経過とともに著明な変動は示さなかった。 ③臍帯血清中のhHGF濃度は,正期産新生児では0.15土0.04ng/mlであり,成人より有意に低値を示した。また,一方,早期産新生児では,0.11土0.02ng/mlであり,早期産新生児では正期産新生児よりさらに有意に低値を示した。

症例

Peplomycinによる肺線維症を合併した卵巣癌の1症例

著者: 沖津修 ,   乾泰延 ,   別宮史朗 ,   常松建夫 ,   西岡真輔 ,   青野敏博

ページ範囲:P.665 - P.669

 症例は64歳,胚細胞系の悪性卵巣腫瘍にて腫瘍摘出術,引き続いてPVP療法(シスプラチン60mg/m2,ビンブラスチン0.2mg/kg,ペプロマイシン(PEP)は20 mgを1週間ごとの静注,計4回を1クールとする)を施行した。3クールの後Second Look Operation,さらに4クール目の化学療法を開始したところ,発熱と労作時呼吸困難にて間質性肺炎を発症した。発症8日目より副腎皮質ステロイドを含む強力な治療を行うも,肺線維症へと移行,後にステロイド精神障害,消化管出血を併発して死の転帰となった。PEPはプレオマイシンよりも肺障書が軽減されたとはいえず,しかもいったん発症した場合の致死率は高い.本症例のPEP総投与量は280 mgであるが,150 mg以内に抑えるのみならず,60歳以上の高齢者に対しては慎重でなければならない。さらに血中濃度の上昇を抑えるための工夫,つねに肺障害の発生を念頭に置き,早期発見を心がけることが必要である。

私の治療

硝酸銀棒法によるバルトリン腺嚢腫の被膜分娩(Kapselgeburt)

著者: 森義三郎 ,   森明人

ページ範囲:P.671 - P.674

 バルトリン腺嚢腫の根治的治療としての,硝酸銀棒による,嚢腫内焼灼術はきわめて有効な方法である。経験した6例全例が完治した。切開したのち,嚢腫内に硝酸銀棒を挿入し,まんべんなく焼灼すると,だいたい1週間前後で嚢腫壁が抵抗なく摘出あるいは排出される。後遺症など認めなかった。手技も簡単であるし,外来で行えるものである。患者の苦痛もごく軽度である。もっと汎用されるべき方法であろうと思われる。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

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71巻5号(2017年5月発行)

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71巻4号(2017年4月発行)

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71巻3号(2017年4月発行)

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71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

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今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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