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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科47巻5号

1993年05月発行

今月の臨床 産科外来検診マニュアル

妊娠初期

9.流産の予後診断

著者: 吉田信隆1

所属機関: 1社会保険広島市民病院産婦人科

ページ範囲:P.486 - P.487

文献概要

 流産の予後診断に経腟超音波断層法が用いられる以前は,妊娠初期(12週未満)の切迫流産の初期症状として,下腹部痛や性器出血が重要な症状であるとされて来た。しかしながら,経腟超音波断層法を用いて数mmの胎児や胎嚢が確認できる状態となった現在においては,出血や下腹部痛が出現する以前において流産の予後判定が可能となり,妊娠4〜6週では妊娠反応の推移と胎嚢の出現,それ以降では胎児の心拍動と胎児の大きさの成長程度が予後判定に重要であることが報告されている。
 そこで妊娠の初期に陽性となる検査の順序が問題となる。表1に体外受精で正常経過をたどった妊娠の妊娠反応の推移・胎嚢〔子宮内膜の内腔にほぼ接した形で,輝いたリング状に描出される(約3mm以上)〕・卵黄嚢そして胎児心拍動それぞれの確認時期を示した。正常妊娠では体外受精より数日早くこれらの検査結果が得られると考えられる。妊娠の初期において各検査結果が陽性を示す順序はこの表の通りであり,切迫流産の予後を診断する場合,妊娠6週までは胎嚢の出現と妊娠反応の推移が重要であり,それ以降では胎児心拍動の確認・卵黄嚢の確認が重要であることが示されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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