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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科47巻6号

1993年06月発行

文献概要

今月の臨床 外陰の診かた 疾患のポイントと私の治療法

14.ヘルペス

著者: 岩坂剛1

所属機関: 1佐賀医科大学産婦人科

ページ範囲:P.723 - P.725

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 性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV:herpes simplex virus)感染によって発症する疾患である。このウイルスは抗原性の相違,あるいは生物学的,物理学的性状の差異から,1型(HSV—1)と2型(HSV−2)に分類されている。
 性器ヘルペスはその発症様式から,初感染(急性型)と,潜伏したウイルスの再活性化による回帰発症(再発型)の2つに分類される。初感染とは,文字通り,個々の宿主にとって初めての感染をいい,感染後2〜7日して,突然,激烈な疼痛を伴った水疱あるいは潰瘍形成の形で発症する。発熱,鼠径部リンパ節腫脹,排尿障害をきたし,重症の場合は,入院治療を必要とすることもある、免疫不全がなければ,だいたい,2〜3週間の経過で治癒する。一方,初感染後,ウイルスは感染部位の神経支配領域の知覚神経節に潜伏するが,疲労,発熱,月経,紫外線暴露といったストレスが加わった状態,あるいは手術,放射線照射,副腎皮質ステロイドや抗癌剤の投与といった免疫機構を低下させる医療行為を契機にウイルスが再活性化され,潜伏場所から神経線維を伝ってその支配領域の皮膚および粘膜に回帰発症する。この再発型は,前述の急性型に比べると症状は軽く,病巣の範囲も狭く,通常1週間前後で治癒する。ただし,免疫機能低下の高度なものは重篤となりやすく,難治性である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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