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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科47巻7号

1993年07月発行

文献概要

今月の臨床 ホルモン補充療法;HRT HRTのプロトコール

11.結合型工ストロゲン

著者: 戸谷良造1

所属機関: 1国立名古屋病院産婦人科

ページ範囲:P.834 - P.837

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 多くのステロイド製剤が,結合剤であるにもかかわらず,結合剤の名称が一般的には使われていない。にもかかわらず,本剤のみが結合型エストロゲン(conjugated estrogen, CE)といった漠然とした名称が永年使われている。これには,以下に述べる理由がある。他のほとんどのステロイド剤が石油などを原料としており,既知の構造式のステロイド,およびその誘導体の単一剤,または2〜3種の混合剤である。これらとは異なり,CEは妊馬尿(pregnant mare urine)から抽出されたestrogen活性を有する物質の総称で,実に多数の物質の混合物製剤である。そして,その一部にはいまだに構造式が同定されていない物質まで含まれている。estrogenは,単一ステロイド名ではなくグループ名であり,一般には複数表現されない。しかし,本剤はestrogensと複数表現されていることからも,幅広い成分の混合剤であることを窺い知ることができ,したがって,結合型エストロゲンといった漠然とした名称が付けられている。いわば西洋医学にはまれな漢方薬的性格を持ったきわめて特異的な存在の薬剤である。本剤の発売は古く,米国では1941年より,本邦では1961年からという長寿薬の一つでもある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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