文献詳細
今月の臨床 新しい薬物療法をさぐる
薬物療法プラクティス
9.子宮頸癌の動注化学療法—Neoadjuvant chemotherapyとしての
著者: 泉陸一1
所属機関: 1富山医科薬科大学産婦人科
ページ範囲:P.40 - P.42
文献概要
頸癌治療の主体をなすのは手術療法と放射線療法であることには現在も変わりはないが,近年の抗癌化学療法の進歩に伴い,期待感も含めて化学療法の役割が次第に増してきている.頸癌化学療法を薬剤の面からみると第一世代をなすエンドキサン,MMC,5—FUが出現した1960年代,第二世代をなすブレオマイシンの1970年代,ついで1980年代には第三世代をなすシスプラチン(CDDP)が登場し,第二世代までの薬剤を組み合わせた多剤併用療法により従前に比して明らかな奏効率の向上がもたらされている.頸癌は第二世代までは化学療法無感受性腫瘍の範疇に入れられていたが,これにより感受性腫瘍に分類されるようになっている.
一方,動注法はすでに第一世代から静注や筋注などの全身投与とほとんど同時的に並行して試行されてきた.しかもその対象の相当数は広汎性手術あるいは放射線療法による根治的療法の前治療として(当時はprimary chemotherapyという用語が用いられたが)行われた症例であったが,治療法として確立されるにはほど遠いものであり,一般化には至らずに終わっていた.しかしながら,上述のような第三世代にある現在,interventionalradiologyの進歩・普及と,留置用カテーテル,埋め込み式動注用ポートなどの動注器具の改良とがあいまって動注化学療法には大きな期待が寄せられている.
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