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CURRENT RESEARCH
ヒト胎盤におけるアミノ酸,糖の経細胞性輸送機構の解析
著者: 工藤美樹1
所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科
ページ範囲:P.95 - P.105
文献購入ページに移動 ヒト胎盤における物質輸送について研究するに至った動機について触れます.学生時代より出入りさせていただいていた生化学教室では,モルモット小腸より調製した刷子縁膜小胞を用いてアミノ酸,糖,ビタミンの輸送の研究を行っていました.その頃より漠然と基礎的な研究をしたいと考えておりましたところ,JPhysiolに胎盤の絨毛上皮細胞より刷子縁膜小胞を調製し,L—プロリンの輸送を解析した論文を見つけ,これがきっかけでこの研究に着手することになりました.しかし,輸送活性を保った状態で膜小胞を調製できるようになるまでには,1年以上の期間を費やしてしまいました.今でも,初めて輸送活性が認められた時の喜びは,はっきりと思い出せます.その後,この膜小胞を用いて刷子縁側でのアミノ酸,糖,薬剤の透過機序について研究を行いました.一連の研究の中で,アミノ酸輸送系の解析を行った論文がきっかけで留学するチャンスを得ました.そこでは,主に絨毛上皮細胞の基底膜側でのアミノ酸輸送について実験を行い,刷子縁膜側との比較を行うことができ,本稿で述べる経細胞性輸送の機序を解明することができました.これらの研究を行ってこれた過程でよく感じることは,“新しい発見に胸をときめかせる心”を教えて下さった恩師と出会えたことの幸運です.
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