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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科48巻2号

1994年02月発行

今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか

ARTの基礎

2.卵子—顆粒膜細胞の相関

著者: 久保春海1 片桐由起子1

所属機関: 1東邦大学医学部第1産科婦人科

ページ範囲:P.136 - P.138

文献概要

卵胞形成期における卵子—顆粒膜細胞の相関
 哺乳動物の卵子—顆粒膜細胞相関は胎生期に始まり,通常は排卵後,受精の完了によって終了する.ほとんどの哺乳動物において,卵子は排卵直前に第1成熟分裂を終え,第2成熟分裂中期に止まった状態で排卵されるが,卵子の外側を2層の細胞間物質が取り巻いている.すなわち,透明帯と卵丘細胞層であり,原始卵胞からの発育途上において,形成される.
 ヒトの胎児期に卵巣が形成されると,卵祖細胞は有糸分裂を行って急速に増殖し,卵巣皮質に集塊を形成する.胎生16週頃になると,顆粒膜細胞(卵胞細胞)が出現し,卵祖細胞の1個1個を取り囲むようになり,原始卵胞を形成する.顆粒膜細胞群は原始卵胞形成初期では扁平一層性であるが,分裂増殖により多層性となり,その形態も立方形から円柱状を呈するようになる.顆粒膜細胞はムコ多糖類を産生,分泌し,卵子を取り巻く透明層を形成する.さらに卵子—顆粒膜細胞間の情報伝達および栄養供給に重要な透明層を貫通する突起(gap junction)を形成する.顆粒膜細胞から分泌されたムコ多糖類,ステロイドホルモンおよび末梢血漿成分が卵胞液として貯留し,卵胞腔が形成され,一次卵胞,二次卵胞から成熟卵胞へと変化してゆく.卵胞腔の形成とともに,卵子は卵胞の辺縁に位置するようになり,卵丘細胞と呼ばれる数層の顆粒膜細胞に包まれた状態となる.通常この状態の卵胞を二次卵胞と呼んでいる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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